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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千八百四十八 玲緒奈編 「周りの人を傷付けられるような」

七月十九日。月曜日。晴れ。


今日は海の日。昨日も暑かったけど、さらに暑い。いよいよ本格的な夏がきたということなのかな。




自分の過去の過ちを美化しない。『武勇伝』にしない。


ということなら、玲那もそうだ。自分を虐待してきた両親、母親はすでに亡くなってたから父親にだけど、『復讐』とも言える形で事件を起こしたことを、彼女は、美化しようともしてないし武勇伝にしようともしてないし、何より、正当化しようとしてない。彼女にとっては、まぎれもない『過ち』なんだ。


「自分が事件を起こしてつくづく思ったのは、赤の他人は、当事者の事情なんか理解しようともしないってこと。『復讐』を美化するくせに、それが自分の思う『復讐劇』に合ってなかったらただの犯罪としか見ないってこと。結局のところ、善とか正義なんてどうでもよくて自分の鬱憤晴らしに都合のいいサンドバッグを求めてるだけだってこと。それをマジで実感した。


その上で、パパちゃんや絵里奈や沙奈子ちゃんだけじゃなく、みんなにも迷惑を掛けちゃったのを美化したり武勇伝にしたり正当化したりなんて、意味が分かんない。事件を起こしたことは、私にとっては人生で一番の汚点だよ。お客を取らされてたこと以上に汚点なんだ」


玲那自身がそう言ってた。彼女が事件のことを心から後悔し反省してることが、傍で見ていれば分かる。こうやって反省してる玲那でさえ、赤の他人に『あの事件の犯人』だってことを気付かれることを恐れて『別人メイク』をばっちりしたりってしてたのに、過去の悪行を自慢したり笑い話にしたりできる人の感覚が理解できない。『昔はそれは許されてた』とか言うかもしれないけど、当時でも本当に許されてたの?。人を傷付け蔑み嘲ることが許されていたなら、そんな時代を『良かった』と言う人の感覚が理解できない。


と言うか、それで傷付けられてきた人たちが許してないから、納得してなかったから、今、それが問題になってるんじゃないの?。傷付けられて苦しめられてきた人たちが本当に許して納得してたら、こんなことになってないと思うけど?。本当は許しても納得してもなかったから変わったんだよね?。


どうしてそれを認められないんだろう。傷付けられたこと苦しめられたことを許せなかった納得できなかった人たちの声は無視されてただけだったんだって。そういう無神経さが、今になってこの事態を招いてるんだって、僕はすごく感じる。


そうじゃなかったら、玲那だってこんなに苦しんでないよ。


だからこそ、今、僕の前でいよいよ普通のハイハイをしようとしてる玲緒奈れおなを、平気で周りの人を傷付けられるような子にしたくないと思うんだ。



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