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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千八百四十三 玲緒奈編 「楽しみながらやってるから」

七月十四日。水曜日。




今日と明日は、沙奈子の学校で、『単元テスト』がある。本来なら『総括テスト』が行われるはずが、ずっと休校していたことで授業が行えず、今まで通りのテストが行えないからだそうだ。


正直、今の沙奈子は、中学の学習範囲をすべて終えた上で改めてちゃんと理解できてるか確認の段階に入ってるから、テストの出来については何も心配していない。


よく、


『余裕をもって東大に合格できるような子ほど勉強ばかりしてるわけじゃない』


的なことを言われるのは、そういうことなんだろうなって実感した。沙奈子たちは、『勉強をしてる』んじゃなくて、『勉強で遊んでる』んだよ。楽しみながらやってるから、すんなりと頭に入る。好きなゲームのキャラクターの情報とかならすんなりと頭に入るのと同じで。そして、楽しめてる間だけ集中して、疲れたらそれ以外の遊びをしてって。だからゲームとかの時間も制限していない。


だけどこれも、星谷ひかりたにさんがいてくれたからというのが大きいと思う。僕や絵里奈や玲那では、ここまでのことはできなかっただろうな。それができる親だったら星谷さんに頼る必要もなかったんだろうけど、


「私は、千早ちはやとヒロ坊くんのためにやっているんです。千早やヒロ坊くんが沙奈子さんや結人ゆうとくんと一緒を望んでいるから、それに応えているに過ぎません。沙奈子さんや結人くんの存在が、千早やヒロ坊くんのモチベーションにも繋がっているんです。私は最も合理的な勉強法を模索していただけですね」


と星谷さん自身が言うように、彼女にとってもメリットのあることだったからできたというのも確かなんだ。


僕たちは結局、『善意』では動かない。そこにメリットがあると思えばこそ、メリットを見出すことができるからこそ、それをしてる。でも同時に、最初からメリットを期待してそれをしてるわけでもないんだ。千早ちゃんや大希くんや結人くんを三階に迎えて過ごしてもらってるのも、元はと言えば、沙奈子が山仁やまひとさんの家で過ごさせてもらってたお返しになればと思ってのことだったり、鷲崎わしざきさんにお世話になったのとなにより沙奈子が結人くんのことを気にしてたから。彼が不幸になるのを望んでいなかったから。


そういうだけのこと。決して『善意』でも『無償の愛』でもないんだよ。


でも、だからこそ、誰かを傷付けたり苦しめたりするのは自分のためにならないというのを実感するんだ。千早ちゃんや結人くんはまだ、取り返しがつく段階だった上に星谷さんや鷲崎さんがいたからこそ受け止められたというのは間違いなくある。



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