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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千八百四十一 玲緒奈編 「覚悟のほどを見せてほしい」

七月十二日。月曜日。曇り時々雨。




玲那が僕と一緒にお風呂に入っても平然としてるように、沙奈子も、今でも僕に体を見られることについては何とも思ってない。お風呂の後で下着姿でいてもまったく気にしてる様子もない。


だから、千早ちはやちゃんと大希ひろきくんが、お互いに裸でいてもまったく気にしない感覚が、理解できる。


けれど、だからと言って他の人たちまでそうやって平然としてられるのが正しいと言うつもりもないんだ。


ここだと、『銭湯やプールとかの更衣室については、七歳以上はちゃんと性別通りに分かれるように』という条例がある。もちろんそれは、『家族風呂』とかについては別だけど、僕は、その条例に対して異を唱えるつもりもないし、


『たかが子供の裸ぐらいで大袈裟な』


とか言うつもりもないんだよ。なにしろ、玲那はまさに『子供をそういう目で見る大人の被害者』だったからね。


『真剣な恋愛だったら、五十歳と十三歳でそういう関係になってもいいじゃないか』


的なことを言ってた人もいたらしいけど、僕はそれにはまったく共感できない。むしろ、『女性は親の同意があれば十六歳で結婚できる』という規定にも、違和感しか覚えない。


だって、十六歳って言ったら、あとたった一年だよ?。沙奈子が十六歳になるのは。一年後に沙奈子が誰かと結婚する?。まったく理解できない。正直、十八歳でもピンとこない。だから、親の同意がなくても結婚できる二十歳になるまでは、僕はたぶん、沙奈子と結婚したいという人が現れても、承諾はしないと思う。二十歳を過ぎれば沙奈子自身の判断で結婚できる以上は認めるしかないとしても、それまではね。


なにしろ、人生には、耐えなきゃいけない我慢しなきゃいけない時期っていうのもあると思うんだ。玲那の事件のことで、僕たちは、彼女の執行猶予が解けるまでの期間はそれこそいろいろ我慢もしたし、執行猶予が解けた今でも世間一般の『普通の家庭』に比べれば抑制的に振る舞ってる点も多いと思う。


そういう、『耐えなきゃいけない我慢しなきゃいけない時期』というものを乗り越えていく覚悟があるのなら、たった数年も我慢できないというのは、おかしくないかな?。それを乗り越えてみせる覚悟を示す、絶好の試練だと思うんだけどな。


それに、数年のうちで気持ちが変わってしまうことだってあるよね?。たった数年我慢しただけで冷めてしまうような浅薄な気持ちじゃないというのを示す機会だと考えれば、納得もできるんじゃないかな。その程度のことも貫けないで、


『真剣な交際』


とか言われても、僕にはまったく信じられないよ。


そういうことについても人それぞれ考え方はあるだろうから、『僕の考えが正しいんだから従え』と言うつもりはないけど、少なくとも僕が沙奈子の親である以上は、引き下がるつもりはない。


なにより、『結婚を認めない』と言いたいんじゃないんだ。『覚悟のほどを見せてほしい』というだけで。



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