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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千八百三十六 玲緒奈編 「どうして自分の家庭を」

七月七日。水曜日。雨。




関東の方であった大変案土石流については、もう、僕たちがとやかく言ってもどうにもならないだろうし、ましてやその原因についてなんて、専門家でもないし現場も見てない僕たちには何も分からないから、後は、僕たち自身の心構えを改めて見直すしかできないと思う。


そう気持ちを切り替えて、玲緒奈れおなを見る。すると彼女は、今日もウォール・リビング内をずり這いで縦横無尽に進撃してた。しかも、かなり上体を起こして足もしっかり使ってて、何かきっかけがあれば『ハイハイ』に移行しそうな様子だった。


そうだね。もう今月で十ヶ月。ハイハイしてても何もおかしくない時期だ。離乳食の量も増えて、おかゆにカボチャを入れて少し味を付けるようになった。ここまで、食べたもので湿疹とか出てないから、今のこの感じでいこうと思う。一般的なそれよりもかなり遅いらしいけど、別に構わない。僕たちの前にいるのは玲緒奈なんだ。他の子じゃない。この子に合わせていけばいい。


なにより、玲緒奈はすごく元気だ。すごく活発で、よく声も出す。呼べば振り返るからちゃんと耳も聞こえてる。目の前を何かがよぎるとそれを追って目を動かして頭も動かす。追いかけようとする。手を伸ばす。機嫌がよければ笑うし、悪ければぐずる。感情をあらわにしてくれる。僕と沙奈子と絵里奈と玲那の区別もついてるみたいだし、ネット上の情報と違っても、この子は順調に育ってくれてる。何も心配要らない。


絵里奈が言う。


「よく、ネットの匿名掲示板とかで相談する人がいるらしいんですけど私にはその気持ちが理解できないんです。だって、どこの誰かも分からない、しかも人を馬鹿にして見下して嘲って罵るのを当たり前だと思ってるような人たちが集まるようなところですよ?。実際、相談してる人は真面目なのに茶化して蔑んでボロカスに言われたりもするそうじゃないですか。わざわざそんなところに相談するってことは、身の回りに相談できる人がいないってことですよね?」


それに対して僕も、


「確かに。自分の身近に信頼できる人がいれば、そんなリスクを冒してまでネットで相談する必要もないよね。自分がそんなことで悩んでるのを身近な人に知られたくないからっていうのがあるとしても、それならなおさら、そういう環境自体が問題なんじゃないかって思うんだ。絵里奈は、気になることがあったら僕にまず聞いてくれるし」


素直にそう応えられた。そうなんだ。家族が何か悩んでいたら、まず家庭内で相談できる関係を築きたい。


家族同士で馬鹿にしたり見下したり嘲ったり罵ったりっていう家庭も少なくないらしいけど、どうして自分の家庭をそんな風にしてしまうのか、僕には理解できないんだ。



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