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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1832/2601

千八百三十二 玲緒奈編 「彼女がのびのびと創作に」

七月三日。土曜日。曇り時々雨。




今日、関東で大変な土石流があったそうだ。たまたま撮られていた映像も、何度も流されてた。かつての東日本大震災の時の津波の映像のように、


「うわあ……」


としか声が出なかった。『逃げろ!』とか『危ない!』とか、そんな意味のある言葉になんてならない。人間って、こういう時、ホントに意味のある言葉を発することができる人の方が少ないんだろうなって思う。


僕だけじゃなく、沙奈子も、絵里奈も、玲那もだった。しかも玲緒奈れおなも、僕たちがテレビの画面を注視してるのが分かってるのか、同じようにじっと見てた。


こういうのを見せるのはあまりよくない気もするけど、この時はそこまで頭が働かなかった。


テレビも、もうそろそろ、玲緒奈には見せないようにしようと思う。玲那は元々、アニメを見る時は三階のテレビで見るか、二階で見る時には和室でヘッドホンを使いながらパソコンで見るようにしてたけど、二階のテレビについては、ニュースとかも、玲緒奈が寝ている時に見るようにしようと思うんだ。


なにしろ、僕たちがテレビのリモコンを操作してると、それに手を伸ばすような仕草を見せ始めたからね。いよいよ、僕たちが触っているものに興味を持ち始めてる気がする。逆に、赤ん坊の気を引くために使われる『メリー』に対しては関心が減ってきてる気もする。飽きてきてるのかも。


そうやって関心が移っていくということ自体がきっと成長してる証拠なんだろうな。


すごいよ、玲緒奈。




一方で、沙奈子は今日も、星谷ひかりたにさんと千早ちはやちゃんと大希ひろきくんと結人ゆうとくんとで、水族館に行ってきてた。そして、いくつものデザイン案を描いてきてた。彼女が水族館に行く時にはまだ土石流のニュースは入ってなかったからそのまま行ったけど、もし、彼女がこのニュースを見てから行ってたら、ここまで集中できてたのかなと思ってしまった。


沙奈子が気にしても仕方のないことなんだけど、大きな事故や災害のニュースがある度に、彼女はとてもつらそうな表情になる。彼女をよく知らない人には分からないかもしれなくても、僕にはその表情の違いが分かってしまう。


もし、影響を受けてしまっているんだとしても、だからこそ、そうじゃない時には彼女には思いっきり集中してやってほしいって気がする。


そのために、僕たちは、彼女がのびのびと創作に打ち込める環境を整えたいと思うんだ。それは、専用の個室を与えるとか機材を揃えるとかいうもの以上に、家庭のことでストレスを抱えてそれに煩わされないようにするって感じかな。


沙奈子は、僕たちと一緒にリビングにいる時の方が集中できてる、一緒にいつつ余計なストレスを掛けないというのが、彼女にとっては大事みたいだ。



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