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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1828/2601

千八百二十八 玲緒奈編 「それを見極めていけば」

六月二十九日。火曜日。曇り時々雨。




『酒を飲んでなくても事故は起こる!』


そんなことを言ってる人がいるらしい。どうしてそんな風にわざわざ信頼されないように信頼されないようにと振る舞うんだろう。僕にはその心理が理解できない。


酒を飲んでなくても事故は確かに起こるんだと思う。でも、それは『酒を飲んで自動車を運転していいという根拠にはならない』のが、なぜ分からないの?。事故を少しでも減らすためにも、『簡単に人の命を奪うことができる大変な道具を使っているという自覚を促す』ためにも、厳しいルールが課されるんだってなぜ考えられないの?。


そんな甘えた大人を、どうして子供が信頼して尊敬してくれると思えるの?。自分を甘やかしたい大人が偉そうにしてて、子供が言うことを聞いてくれるとなんで思えるの?。


意味が分からない。分からないよ。


沙奈子が、千早ちはやちゃんが、大希ひろきくんが、結人ゆうとくんが、身近な大人に反抗せずに済んでるのは、『反抗しなきゃいけない理由を作らないようにしてる』からなんだ。僕や絵里奈や玲那が、星谷ひかりたにさんが、山仁やまひとさんが、鷲崎わしざきさんや波多野さんや喜緑きみどりさんが、ね。


僕たちはいつもそれを心掛けてる。もちろんそれでも完璧にはなれないけど、自分が間違ったことをした時にはそれを反省しなくちゃいけないと思ってるし、ましてや、飲酒運転で事故を起こしたことを、『酒を飲んでなくても事故は起こる!』なんて詭弁で擁護するのが正しいだなんて考えないようにしてる。その努力をしようと思ってるんだ。


その努力をしてても、絵里奈がお風呂に入れようとしたら今でも玲緒奈れおなが嫌がるように、絵里奈が離乳食を食べさせようとしたら玲緒奈が気乗りしないように、上手くいかないことがある。努力してても、その努力が必ずしも適切じゃないこともある。なのに、その努力さえしないなんて、本当になんのつもりなんだろう。


玲緒奈はまだ、言葉も話せないし、僕たちの言ってることも十分には理解できてない。だからどうして絵里奈じゃ駄目なのか、彼女の口からその理由を聞くことはできない。でも、僕がお風呂に入れれば、離乳食を食べさせてあげれば、それで機嫌よくいてくれるんだ。だったらそうすればいいだけだよね。そこでわざわざ絵里奈にやらせて玲緒奈の反発を招く必要が、どこにあるの?。


最初は、寝かしつけるのもミルクをあげるのも僕じゃなければ駄目だった。だけど今では、それは絵里奈でも大丈夫になってきてる。玲緒奈自身の成長と共に、彼女の許容範囲も広がってきてるんだ。それを見極めていけば済むことだよね?。


それにもし、一生、『僕でなければ駄目』だったとしても、構わない。僕には、本人の承諾もなしに玲緒奈をこの世に勝手に送り出した責任があるんだから。その覚悟があるから、玲緒奈に来てもらったんだ。



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