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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千八百二十六 玲緒奈編 「それを疑うのを」

六月二十七日。日曜日。曇り時々雨。




ところで、玲緒奈れおなに関しては、彼女をお風呂に入れるのも今も僕の役目だ。その分、絵里奈には家のことを任せてる状態かな。


そして今日は、僕が玲緒奈を散歩させて、絵里奈が買い物に行ってきた。天気が芳しくないから、ベビーカーを丸ごと覆える透明なカバーを付けておく。これで、雨が降り出しても大丈夫だ。


すると、本当に雨が。


透明なカバーを雨がぱたぱたと叩くのを、玲緒奈は、


「ぽ?。ぽおっ!。ぽぽぷーっ!」


とか興奮して声を上げてた。ベビーカーのシートの中で、体もバタバタさせてる。怖がってるのかな?と思って表情を見るけど、どうやらそういうのじゃなくて、単純にカバーに雨がぶつかる様子が面白いのか不思議なのかとにかく興味を引かれてるみたいだ。


そんな彼女の様子に僕はついつい見入ってしまって、自分が傘をさすのも忘れてしまって、結構濡れてしまった。もっとも、全然寒くなくて、むしろ気持ちいいくらいだったけど。


そうして雨の中を散歩してるうちに玲緒奈も落ち着いて、でも、ベビーカーの前の部分のバーのところに足をのっけて、なんだかすごく偉そうな様子にも見えた。


しかも、歯が生えてきてそれが気になるのか盛大に拳しゃぶりをしつつ、じーっと空を(カバーに落ちる雨を?)見詰めてた。そんな姿からも、彼女がいろんなものをしっかりと見て、吸収してるんだって感じる。


赤ん坊には何も分からない?。そんなのは嘘だ。大人と同じようには捉えてなくても、赤ん坊は赤ん坊なりに世界を見てる。大人を見てる。他人を見てる。見て、大人にはちょっと分からない何かを考えてる。その頃に考えていたことを思い出せれば、きっと、いろんなことが分かる気がするんだけどな。とても大切なことが。両親をはじめとした周囲の人たちが赤ん坊にどういう影響を与えてるのか。


だけど残念ながら、人間は、この頃のことは成長と共にほとんど忘れてしまう。そして、自分に都合よく解釈しようとするんだ。


『どうせ赤ん坊には何も分からないから、何やってたってかまわない』


みたいにね。


いい大人が、どうしてそんな甘ったれたことを考えてるのかが、僕には不思議で仕方ない。大人が甘ったれてるのに子供が甘えるのは許さないとか、意味が分からない。


僕は、


『親は、大人は間違えない』


『親の言うことさえ聞いていれば子供は正しく育つ』


そんな幻想を信じない。信じられない。自分自身の経験から、信じられなくなった。


たとえ世間はそれを疑うのを『タブー』だと考えていてもね。



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