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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1823/2601

千八百二十三 玲緒奈編 「お家で何かありましたか?」

六月二十四日。木曜日。晴れ。




リビングに作られた、約四畳半ほどの、『壁』によって閉ざされた空間。『ウォール・リビング』(玲那命名)が、今、僕たちの一番濃い空間。食事も、睡眠も、基本的にはこの中でする。沙奈子は、学校も再開されたし、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんや結人ゆうとくんが来てる間は三階に、玲那は仕事中は一階の事務所にいるけど、僕と絵里奈と玲緒奈れおなは、買い物や散歩に行く以外はほとんどここにいる。


段ボールで作られた壁の高さは、約七十センチ。厚さは五センチ以上。大人が少しもたれかかった程度では倒れない程度の強度にはなった。布テープがべたべた張り付けられたすごく不格好なものだけど、その分、汚れようが傷もうがぜんぜん惜しくない。玲緒奈がある程度大きくなって、『危険』というものを理解するようになるまでの間の一時的なものだ。


「でさでさ!。こんな感じのドレスってどう?」


「あはは、面白そう♡ こうかな?」


玲那と沙奈子が、段ボールの壁に早速、絵を描いて遊んでた。


沙奈子も、先日、水族館に行ったことで気分転換ができたのか、確実に明るくなってた。表情が柔らかいし、話し方も軽くなったし。


以前の彼女のイメージがどうしてもあるから、そんなに変わってた印象もなかったんだけど、やっぱり、『新型コロナウイルス感染症』の影響は少なからず出てたのかなって思った。沙奈子は人の多いところに出掛けるのは苦手でも、千早ちゃんや大希くんと親しくなって一緒に出掛けることも増えて、僕が思ってた以上に、外に出ることが負担じゃなくなってたんだろうな。


正直、『沙奈子はこういう子だ』っていう思い込みが僕の中にあったんだと思い知らされる。子供は、親が気付かないうちにも成長してるんだ。水族館が再開してくれたのは、本当にありがたい。


そして、沙奈子が水族館に行ってできたデザインを基にしたドレス発表したら、大評判だったそうだ。本当は別のデザインのを発表する予定だったんだけど、急遽新しいものに差し替えて発表に踏み切った。『SANA』として、ある意味、勝負に出たってことかな。『マンネリ化してる』と言われ始めていたところへカウンターとしてね。


そのため、ちょっとスケジュールを前倒ししたりと、タイトにしたけど、沙奈子はむしろ楽しそうにすごい勢いでドレスを仕上げていったんだ。


これまで睡眠時間が八時間だったのを、六時間に削って、一気に。


ただその分、授業中に居眠りをしてしまって、学校から、


「沙奈子さんが授業中にすごく眠そうにしているんですが、お家で何かありましたか?」


と電話がかかってきたりした。それまですごく真面目に授業を受けていた沙奈子が急にそんなことになったから、心配してくれたみたいなんだ。



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