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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千八百十七 玲緒奈編 「大きなヒントがあると」

六月十八日。金曜日。曇りのち雨。




波多野さんの話は、すごく大事なことだと僕も感じてる。今、ウォール・リビング内をずり這いで縦横無尽に進撃してる玲緒奈れおなが、もし、そんな被害に遭ったら、僕は、加害者を殺してやりたいと思うだろうな。『加害者の人権』なんて知ったことじゃない。被害者の人権を先に蔑ろにしたのは加害者だ。そんな加害者の人権なんか守ってやる必要なんてあるの?。と考えてしまうのは正直なところだと思う。


でも、玲那のように、『被害者』でもあり、『加害者』でもある。という事例を間近で見てると、単に『被害者』『加害者』で語ることは適切じゃないというのも感じるんだ。なにしろ、玲那なんて、『加害者の家族』でもあるわけで。


波多野さんも、『お兄さんの被害者』であると同時に、『加害者の家族』でもあり、世間からの『私刑』によって家庭を滅茶苦茶にされた『被害者』でもある。


本当にもう、複雑だ。


山仁やまひとさんもそう。『元死刑囚・役童強馬えきどうきょうまの息子』、すなわち『加害者の家族』であって、波多野さんと同じく世間からの『私刑』によって人生を滅茶苦茶にされた『被害者』でもあるんだから。


玲那が、実の両親からの虐待の復讐として実の父親を包丁で刺して『殺人未遂犯という加害者』になって、世間から滅茶苦茶に攻撃を受けて、『死ぬまで追い詰めるべき』とまで言われて。はっきり言って、『死ぬまで追い詰めるべき』とか言う奴も、『加害者』だよね。波多野さんの家庭を滅茶苦茶にした連中も、間違いなく『加害者』だ。山仁さんの人生を滅茶苦茶にした連中も同じ。


玲那を攻撃した連中も、波多野さんの家庭を滅茶苦茶にした連中も、山仁さんの人生を滅茶苦茶にした連中も、同じく『加害者』として人権を制限されるべきだと僕は思う。


だからこそ、僕は、自分が被害を受けたわけでもない事件について、加害者に私刑を加えようとは思わない。ましてや加害者の家族になんて。


『加害者の家族も責められることが加害者への罰になる』なんて詭弁、波多野さんのお兄さんが自分の実の家族が苦しんでることを喜んでるのを見てたら何の意味もないことが分かる。波多野さんのお兄さんは、自分の実の両親に対して世間から攻撃させることで溜飲を下げてたそうなんだ。世間は、波多野さんのお兄さんにまんまと利用されて、喜ばせただけなんだよ。


玲那も、自分が罪を犯したことで実の両親が世間から攻撃されるなら、大歓迎だったそうだ。ただ、


「でも、パパちゃんや沙奈子ちゃんや絵里奈が攻撃されるのは嫌!。絶対に許せない!!」


とも言ってたけどね。そこに、大きなヒントがあると思うんだ。



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