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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1809/2601

千八百九 玲緒奈編 「そこから学ぼうとしてる」

六月十日。木曜日。晴れ。




今日はまた、沙奈子達は午後から授業で、午前からうちに集まってた。


一方、玲緒奈れおなも日々成長してる。『背面ずり這い』によって体の使い方をさらに理解したのか、いよいよ、うつ伏せでの『ずり這い』を始めたんだ。


「玲緒奈、すごい!、すご~い♡」


これも、最初に目撃したのは絵里奈だった。僕の仕事の邪魔を一通りした後で絵里奈のところにいったら、何かを思い立ったかのようにころんとうつ伏せになって、両手を布団につけてぐいっと引き寄せたら体が前に進んで、


「ぷおっ!?」


自分でも驚いたのか声を上げて、


「ぽっ! ぷおっ!」


って叫びながら足も使ってぐいぐいと。まだ四つん這いになってのハイハイじゃないけど、確実にそれに向かって進んでる。成長してる。しかも、


「すごい、すごい!」


と僕や絵里奈が歓声を上げたらホントに自慢げな顔になって。そうなんだ。玲緒奈は確かに僕や絵里奈の表情を見て理解してる。僕や絵里奈の表情から、たくさんのことを学んでる。吸収してる。自分が愛されてることを感じ取ってくれてる。人間としての在り方を、僕たちから学び取ってくれてるんだ。玲緒奈の笑顔は、僕たちのそれを真似してるんだってすごく感じる。


だから僕は、玲緒奈の前で絵里奈や沙奈子や玲那のことを悪く言わない。馬鹿にしない。そして絵里奈も、玲緒奈の前で僕や沙奈子や玲那のことを悪く言わない。馬鹿にしない。沙奈子も、玲緒奈の前で僕や絵里奈のことを悪く言わない。馬鹿にしない。玲那も、絵里奈の前で僕や絵里奈や沙奈子のことを悪く言わない。馬鹿にしない。


玲緒奈の前でそれをしたら、あの子は、誰かを馬鹿にして見下して悪く言うのを『普通のこと』だと思ってしまうって感じる。


誰かのことを馬鹿にして見下して悪く言うのを『普通のこと』だと思わせてしまってから、『悪口はよくない』とか言ったって、説得力がないと思う。だって、親をはじめとしたすぐ身近な人が、家族のことを馬鹿にして見下して悪く言ってるのに、それで『悪口はよくない』なんて、子供からしても意味が分からないよね。どっちが正しいのか、判断に迷うよね。


悪口や陰口はよくないって言うのなら、親が子供の前で誰かのことを悪く言うのもやめた方がいいってすごく感じた。玲緒奈はそれほどまでに僕たちのことを見てる。見て、そこから学ぼうとしてる。言葉も、人間としての在り方も。


僕は、玲緒奈に、誰かを平気で傷付けられるような人になってほしくない。だから、玲緒奈の前で誰かを傷付けるようなことはしないでおこうと思うんだ。



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