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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千八百五 玲緒奈編 「久々のそれに」

六月六日。日曜日。晴れ。




山仁やまひとさんは、イチコさんに来てもらうにあたって、


『他の誰がこの子が生まれてきたことを否定しても、自分だけは決して否定しない』


と誓ったそうだ。イチコさんの存在そのものを否定するような真似だけは、自分がどれほど苦しくてもしないって。たとえ、イチコさんに、『生んでくれなんて頼んでない!』って言われても。


その程度のことを言われるくらいは、奥さんと付き合うことを決めた時点から覚悟してたって。その覚悟があるから奥さんと付き合ったし結婚したって。


最初の段階からなんだ。だから、結婚したことを後悔もしてないし、イチコさんや大希ひろきくんに来てもらったことも後悔してない。二人のために自分の時間を割くことも当然だと思ってる。それらをやりくりした上で、『自分の時間』を持てればいいって。


『親だって人間なんだから自分の時間くらいほしい』


というのは、あくまで、必要なことをした上での話だって。


それを『自分に厳しい』と言わなくて何だって言うんだろうね。


僕も、山仁さんほどじゃなくても、それを心掛けたいと思ってるんだ。




ところで、話は変わるけど、玲那の友達の木咲きざきさんが勤めてるあの旅館、最近は、『新型コロナウイルス感染症』のこともあってすっかり行けなくなってしまってた。玲那が木咲さんから聞いた話だと、正直、かなり厳しい状況らしい。


それでも、一日に一組だけ。それも、原則六人までという、基本的に『家族だけ』という、限定プランで宿泊も受け入れてるそうだ。


あと、原則四人までという形の、『お食事のみ』の予約も、一日三組限定で受け入れてるって。こちらも基本的には家族だけで、お酒の提供はなしと。


そういう形で、厳しいながらなんとか凌いでる。ただ、掃除はこれまでと同じく丁寧にしている上に、『消毒』も徹底的にするようになったことで、従業員の負担は増えてるらしい。


「仕方ないのは分かってるけど、本音言わせてもらうときついね」


ビデオ通話越しに、木咲さんはそう言って笑ったそうだ。


そんなあの旅館に、今日は久々に千早ちはやちゃんと大希ひろきくんと星谷ひかりたにさんだけで食事に行ってるんだって。三人は血は繋がってないけど、実質的には家族と同じだからね。旅館の方としても、それを知ってるから受け入れてくれたらしい。しかも星谷さんは、事前に検査を受けて陰性と確認してから、さらには行き帰りは、やっぱり検査を受けて陰性だっていうのを確認済みのドライバーが運転するハイヤーを使って他の誰とも接触しないようにして。


そこまでしなくちゃいけないのは大変だけど、久々のそれに、千早ちゃんは大喜びだったって。



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