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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1801/2601

千八百一 玲緒奈編 「今のところは」

六月二日。水曜日。曇り。




昨日、久々に学校に行った沙奈子に、


「どう?。久々の学校は?」


と尋ねてみたら、


「……別に…普通かな……」


ということだった。沙奈子の言う『普通』は、


『特に嫌なこととかなかった』


っていう意味なことが多い。この子が『嫌だ』と感じるようなことは、少し注意をしないといけないことだとこれまでの経験で学んできたから、それがないというのはホッとする。


まさかこんなことになるなんて今年に入ったばかりの頃には思わなかったけど、歴史を振り返ってみてもペストの大流行やスペイン風邪の大流行ということもあったわけだから、今回のもそういうものの一つでしかないと僕は感じてる。たまたま自分が生きてる間にそういうのが起こってしまっただけだと感じるんだ。


それを嘆いたってなにも解決しない。自分に降りかかってきた状況の中で何ができるのか、何をするのか、それを考えるのが必要なんじゃないかな。


そんな僕の姿を、沙奈子にも見てもらおうと思ってる。


自分の力ではどうしようもないことでうろたえたり憤ったりして誰かを攻撃する親の姿を、見せたくないんだ。何も解決しないどころか、余計な諍いを引き起こす親の姿を。


他人を攻撃することを『格好いい』とは、僕は思わない。僕の感覚ではまったくピンとこない。幸せに繋がる気はまるでしない。


そして今日は、出席番号が偶数の生徒が出席して、奇数である沙奈子はまた、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんや結人ゆうとくんたちと集まって、三階で過ごしてる。すっかり当たり前になった光景だ。


ある意味、過疎地の分校とかでは、生徒数が四人とかいうのもあるだろうから、そういう感じの学校みたいなものかなとも解釈してる。


だけどそれ自体、今週で終わりかな。ああでも、夏休みに入ればまたこうなるのか。


ただ、夏休みは確実に短くなるそうだ。休校が長く続いたから仕方ないんだとしても、迂闊に遊びにも行けなかったから、正直、夏休みの代わりとは言えない気がする。でも、夏休み中も気軽には遊びに行ったりはできないのかな。


もっとも、沙奈子自身は、水族館に行けないのが残念なだけで、それ以外は別に気にしてないみたいだけど。


千早ちゃんは、イチコさんにお膝してもらってストレスを緩和してもらってるし、大希くんは山仁やまひとさんに力比べを挑んで発散してるみたいだね。




ところで、玲緒奈れおなはというと、『背面ずり這い』で『ウォール・リビング』内を縦横無尽に進撃してる。本人もそれが気に入ったらしくて、僕の仕事の邪魔はしてこなくなったんだ。


今のところは、だけど。



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