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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1799/2601

千七百九十九 玲緒奈編 「その義務を果たす覚悟が」

五月三十一日。月曜日。晴れ。




『ウォール・リビング』と玲那が名付けた『玲緒奈れおなが最優先になる空間』は、気付いたことがある度に調整、改造していく。


段ボール二つ分だけの厚みじゃ、ちょっと体重が掛かっただけですぐにたわんでしまうから、『SANA』の品物が入荷される度にその段ボールを足して厚みをふやしていくことにした。


はっきり言って、すごく不格好なものにも見える。だけど、必要なくなれば解体して捨てることになる上に、誰かに見せるために作るわけじゃないものにあまりお金をかけてもと思うんだ。しかも、好きに落書きしてもらうってことになると余計にね。お金を掛けたものに落書きされるのはあまりいい気がしないと思うし。


もし、SNSとかに写真を載せるつもりだったら、見た目にも整ったのものにしたいと感じるかもしれない。だけど僕たちは、自分たちの暮らしを必要以上に他人に公開するつもりもないんだ。ほんの断片的なことなら、他人に特定されない程度のことなら、発信することはあっても。


『SANA』のHPにも、デザイナーである絵里奈や沙奈子のことは、詳しくは載せていない。顔も出してない。顔写真の代わりにアバターを載せてるだけだ。


世の中には、ちょっと気に入らないというだけで、別に自分が何か被害を受けたわけでもない相手を攻撃する人も少なくない。僕たちはそれを良しとしないし、そんな形で他人を攻撃することでストレスを転嫁しなきゃいけないようなことはないように心掛けてる。家族同士でストレスを癒して、他人に八つ当たりしなくても済むようにしてるんだ。


他人を攻撃することを肯定しないために。


これは、沙奈子や玲緒奈が誰かをイジメたりしないで済むようにという狙いもある。


『イジメはよくない』


と頭ごなしに言ったって、誰かに八つ当たりせずにいられないほどのストレスを抱えていたら、たとえ隠れてでもイジメとかしようとするかもしれないからね。厳しい家庭の子が、親や教師の前では優等生のように振る舞っていても、大人が見てないところではイジメをしたりっていうのがあるみたいに。


それじゃ意味がないと思うんだ。


だから最初から、『他人に転嫁せずにいられないほどのストレスを抱えたままにしない』ってこと目指したい。僕には、沙奈子を受け入れた、玲緒奈を勝手にこの世に送り出した、大きな責任がある。


『生きててよかった』


『生まれてきてよかった』


って思わせてあげる義務があるんだ。少なくとも、僕自身はそう思ってる。その義務を果たす覚悟があるから、沙奈子の親でいられてるし、玲緒奈に来てらもうこともできたんだ。



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