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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百九十三 玲緒奈編 「情報を鵜吞みにせず」

五月二十五日。火曜日。晴れ。




『忙しいから相手してられない』


仕事で重要な案件だったら、そんなこと言ってられないよね?。とにかく何とかして時間を作って対応するよね?。一つの命を自分の勝手でこの世に送り出しておいて人間を育ててるのに、そんな大変なことをしようとしてるのに、『忙しいから相手してられない』なんて、どういうことなんだろう。


育ててるのは人間なんだよ。周囲にどれだけ影響を与えるのか分かってるのかな。


自分の子供が他人を傷付けたりするかもしれないのに、どうしてそれを『仕事の方が大事』なんて言えるんだろう。子供を育てること自体が、大変ですごく重要な仕事なのに。


実際に沙奈子や玲緒奈れおなと接していて、僕はすごくそう感じる。だから、沙奈子が僕の膝に座りたがっていたのを邪険にしなかったし、玲緒奈がいまだにお風呂は僕でないと駄目なのを絵里奈に押し付けようとは思わないんだ。


絵里奈も、育児休業中のはずなのに星谷ひかりたにさんと頻繁に『SANA』のことで連絡を取り合ってるし、家のことも再開してる。玲緒奈の離乳食づくりは、絵里奈が担当してるんだ。と言っても、ようやく重湯を与えてる状態だけど。


たぶん、人によっては『遅すぎる』と言うだろうな。だけど、玲緒奈の様子を見ながら僕たちは進めてるんだ。玲緒奈自身が新しい味に興味を覚えてくれて、進んで口に入れてくれるのを確かめながらね。それを、親の都合を押し付けて先に進もうとするのは、『自分の都合ばかりを一方的に押し付けて相手の都合を考えない姿』を見せることになると思うんだ。


焦らなくていい。玲緒奈はちゃんと元気に成長してくれてる。ここまで熱とかも出したりしてない。睡眠もかなりまとめてとるようになってきてくれてる。育児本やネットの情報を鵜吞みにせず、とにかく玲緒奈自身を見る。成長が他の子に比べてゆっくりでもいい。急がせる必要はない。僕たちの方が沙奈子や玲緒奈に合わせる。


ただでさえこんな大変な世界に来てもらったんだ。最初から嫌な思いさせて『生まれてくるんじゃなかった』って気持ちにさせる必要なんてないよ。どんなに努力をしても、今回の『新型コロナウイルス感染症』みたいな形で大変な思いをすることだってあるんだ。他にも、地震や水害といった災害だって起こる。そういう、自分たちの力ではどうしようもない、回避しようもないこともあるんだから、辛い思いをするのはそういうことだけで十分だと思う。わざと辛い思いをさせる必要なんて感じない。



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