表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1792/2601

千七百九十二 玲緒奈編 「筋が通らないと思ってる」

五月二十四日。月曜日。雨。




『だからあの頃の私は頭がおかしかったんだ』


千早ちはやちゃんは、そう思えるようになったから、今、幸せになれてる。毎日、笑顔で過ごせてる。他人にストレスを転嫁しなくても済むようになってる。


『新型コロナウイルス感染症』の所為でカラオケさえ満足に行けないようになってるけど、それはストレスになってるけど、


「てへへ♡ 実は最近、イチえにお膝してもらってるんだ」


って言ってた。本当は星谷ひかりたにさんにそうしてもらいたいけど、『新型コロナウイルス感染症』の件もあってとにかくあっちこっちと連絡を取り合って、ビデオ通話で会議や会談をひっきりなしにやって対処してるから、一週間に一度か二度、実際に顔を合わすだけなんだって。もちろん、ビデオ通話越しには毎日顔を合わすけどね。


でも、実際に会えた時には、存分に甘えるらしい。そして、会えない時には、イチコさんが補ってくれる。


「それはほら、もう千早も家族だから」


イチコさんはそう言った。ただ、さすがに山仁やまひとさんに甘えるのは憚られて、それでイチコさんにっていうのもあるみたいだね。うん、血が繋がってない、法律上も親じゃない山仁さんの膝に千早ちゃんが座って甘えるというのは、いろいろ誤解も生みそうだしね。


その一方で、大希くんは、最近、山仁さんにすごく絡んでいくとも。これも、昨今の『自粛自粛ムード』が、実は大希くん自身も意識しないうちにストレスになってて、山仁さん相手に『力比べ』する感じで挑みかかって、それで発散してる感じなのかな。


文筆業であまり体を動かさないように見える山仁さんだけど、柔道のオリンピック代表の候補にもなった実のお父さんに似てか、力そのものは決して弱くないそうだ。加えて、どうしても一日中座りっぱなしになることの多い仕事だから、意識して体を動かすこともしてるって。だからか、今では沙奈子にも身長で差を付けられてる大希くんにはまだまだ負けないらしい。


そうやって大希くんは、お父さんの強さを実感して、同時に、たっぷりと構ってもらうことで満たされてるみたいだね。


そこで、『忙しいから』と、構ってもらいたがってる大希くんの気持ちを蔑ろにしない山仁さんだからこそ、強く反発する必要がないんだろうな。忙しくてもちゃんと時間を都合してくれるんだ。


山仁さんがそこまでするのは、自分がイチコさんと大希くんを勝手にこの世に送り出したっていう自覚があるから。その自分がイチコさんや大希くんを蔑ろにするなんて筋が通らないと思ってるからなんだって。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ