表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1790/2601

千七百九十 玲緒奈編 「他人のイジメ方そのものを」

五月二十二日。土曜日。曇り。



玲那は言う。


「漫画やアニメとかでさ、主人公の周りの人達が、『他人を敬う姿勢』を見せるだけで『優しい世界』とか言われたりするんだけどさ。それっておかしいよね?。『他人を敬う』なんて、本来、『人として当たり前の振る舞い』なんでしょ?。その『人として当たり前の振る舞い』をするだけでなんで『優しい世界』になんの?。そう感じるってことは、『他人を敬うという人として当たり前の振る舞い』をしてる人が現実には少ないってことだよね?。じゃあなんで、『他人を敬うという人として当たり前の振る舞い』をしてる人がそんなに少ないの?。ちゃんと躾けられてる人だったら、『他人を敬うという人として当たり前の振る舞い』ができるんじゃないの?。おかしいじゃん」


って。


なるほど確かにそうだ。本来、『他人を敬うという人として当たり前の振る舞い』ができて当然のところをそれができてる人が少ないから、『優しい世界』なんて表現が成立する。現実の世界で『他人を敬うという人として当たり前の振る舞い』をする人がほとんどだったら、なにもわざわざ『優しい世界』なんて言い方をする必要もないよね?。


だったら、どうして、『他人を敬うという人として当たり前の振る舞い』ができる人がこんなに少ないの?。それどころか、『どうすることが他人を敬うことになるのか分からない』なんて言う人さえいるよね?。それっておかしくない?。その人の親がそれを教えてこなかったってことだよね?。


だから僕は、『他人を敬うという人として当たり前の振る舞い』ができるように、その手本を沙奈子や玲緒奈れおなに示してあげたいんだ。沙奈子や玲緒奈を『一人の人として敬う』ことで、


『こうするのが、他人を敬うってことだよ』


って教えてあげたいんだ。そうすれば少なくとも、沙奈子や玲緒奈は、どうすれば他人を敬うことになるのかを知ることができるんじゃないかな。イチコさんや大希ひろきくんは、そうやって教わってきたそうだ。山仁やまひとさんが、二人を人として敬ってきたから、ただの知識じゃなく感覚として他人を敬うことができてるんだ。だから二人は、他人を怒鳴ったりしないし罵ったりしないし暴力も振るわないし馬鹿にしないし見下さないし貶さない。ましてや、イジメるなんて、有り得ない。


そんな風にしないことの方が、二人にとっては『普通』なんだよ。親である山仁さんが二人が赤ん坊の時からずっとそう接してきたから。他人のイジメ方そのものをイチコさんも大希くんも知らないんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ