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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百八十七 玲緒奈編 「人間として正しくあれ!!」

五月十九日。水曜日。雨のち曇り。




僕と一緒に暮らし始めたことで沙奈子の成長が始まったんだとしたら、彼女はようやく、五歳くらいの子供の社会性を得たのかもしれない。根っ子には他者への不信感があるから人懐っこい感じにはならないだろうし、もちろん実際に五歳くらいのそれってわけじゃないんだろうけど、他者との関わり方を学んでる真っ最中なのは間違いないと思うんだ。


そして結人ゆうとくんも。


他者と上手く関われない今の沙奈子や結人くんは、事情を知らない人から見たら、ノリの悪い、無愛想で、礼儀知らず、生意気な子供。に見えるかもしれない。そしてそういう風に受け取る人は、二人を『躾け』ようとして厳しいことを言うかもしれない。


でもそれは、『事情を知らない人の勝手な判断』以外の何物でもないよね?。だけど、沙奈子が通ってる学校は、そういう『余計なこと』をしないでいてくれるんだ。


だから、今の二人には、教師に反発する理由がない。その上、学校で何か嫌なことがあっても家に帰れば癒されるから、他人に八つ当たりする必要もない。


『強者の立場を盾にして弱者を虐げることでストレスを解消する』必要がないんだ。『法律とかで手厚く保護されてるという意味での強者の立場』をね。


とにかく、僕たちは、『劣ってる相手は見下していい』とか『強者は弱者を虐げていい』っていう考え方を肯定しない。取り入れない。そういう考えに甘えてしまいそうになる自分自身を甘やかさない。


『みんなやってることじゃないか!』


って言って、『他人の所為』にしない。他人がやってるから自分もやっていいとは考えない。


『正直者が馬鹿を見る世の中だから』


って言って、『世の中の所為』にしない。『社会の所為』にしない。


他人がルールを守らないからって、マナーを守らないからって、相手を気遣わないからって、労わないからって、敬わないからって、自分もルールを守らなくていい、マナーを守らなくていい、相手を気遣わなくていい、労わなくていい、敬わなくていい、とは、考えないんだ。そして、沙奈子や玲緒奈れおなの前で、


『こうすればいいんだよ』


っていう手本を示すことを心掛ける。『躾』なんていい加減であやふやな、個人の勝手な解釈でどうにでも捻じ曲げられてしまうものになんて頼らない。親である僕の振る舞いを真似てくれたらそれで大体は大丈夫っていうのを、示していきたいんだ。


子供の前で、ルールを守らない、マナーを守らない、他者を気遣わない、労わない、敬わない。そんな親ではいたくない。子供にそんな姿を見せておいて、


『人間として正しくあれ!!』


なんて子供に偉そうにするとか、『お前が言うな!』って言われるようなことはしたくないんだ。



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