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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百八十二 玲緒奈編 「玲那自身の願いでもある」

五月十四日。金曜日。晴れ。




玲緒奈れおなは、かなりしっかり自分でお座りができるようになってきた。五分くらいは座ってられるみたいだ。そうして疲れてくると自分で俯せになって、それから仰向けになる。


一連の動作もすごくスムーズになってきた気がする。


すごいな。本当にすごい。こうやって人間は成長していくんだ。


それと同時に、いつも僕や絵里奈や沙奈子や玲那をすごくよく見てる。視線を感じる。僕たちの振る舞いを見て、自分もどうすればいいのかを学んでるんだろうな。だから玲緒奈の前で、怒鳴ったり、苛々したり、誰かを罵ったり、馬鹿にしたり、見下したり、貶したり、なんてできるはずがないと思った。


僕は、沙奈子を、絵里奈を、玲那を、些細なことで怒鳴ったりしないし、罵ったりしないし、馬鹿にしないし、見下さないし、貶さない。もちろんそれは、沙奈子や絵里奈や玲那が、そんな風に接しなきゃいけない相手じゃないからっていうのもあるけど、もし、嫌な人、好きじゃない人が相手でも、少なくとも玲緒奈の前では自制しなきゃって思う。


些細なことで怒鳴ったり誰かを馬鹿にするような姿を見せていたら、『そういうもの』と学び取ってしまうのが分かる。気に入らない相手は怒鳴っていい罵っていい馬鹿にしていいって学び取ってしまうのが分かるんだ。


山仁やまひとさんはそれをしなかったから、イチコさんも大希ひろきくんも、他人を怒鳴ったり罵ったり馬鹿にしたりするのを『当たり前』だとは思っていない。


対して、沙奈子と仲良くなる以前の千早ちはやちゃんや結人ゆうとくんは、気に入らない相手は怒鳴って罵って馬鹿にするのを『当たり前』だと思ってた。


僕も絵里奈も玲那も、露骨に態度には出さなくても、内心では気に入らない相手を馬鹿にしたり見下したり貶したりしてしまう部分がある。それをそのまま表に出せば余計に面倒なことになるのを知ってて、面倒なことになるのが嫌だからしないだけなんだ。だけど、態度の端々にはそういうのが透けて見えることもあると思う。


沙奈子の場合は、他人が怖いからまずそれが先に来てしまって、何も考えないようにする感じだったみたいだけどね。だけどそれは、小さかった頃の玲那も同じで、他人が怖くて何も考えないようにしてたそうだけど、成長するにしたがって、内心では他人を罵るようになっていったって。


沙奈子や玲緒奈には、そうなってほしくない。それは他でもない、玲那自身の願いでもある。


『あんな両親の下に生まれなかった自分』という可能性を見たくて、見せてあげたくて、玲那の『玲』の文字を送ったんだからね。



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