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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百七十九 玲緒奈編 「まさに正念場」

五月十一日。火曜日。晴れ。




なんかいろいろ大変にはなってるみたいだけど、大変な中でもちょっと慣れてしまった感はないこともないかな。ただ、マスクはいまだにスーパーの店頭には並んでなかった。ティッシュやトイレットペーパーの方は、たまに買えるから何とかなってるし、マスクも、うちは『SANA』として契約してる分が納品されることで、ギリギリもちこたえてる感じか。


「こうなったらもう、消毒して何回か使うしかないよ」


マスクがまったく店頭に見当たらない状態が続いたことで玲那がそう言いだして、使ったマスクを、漂白剤を溶かした水に浸して消毒・殺菌、再利用することにした。一応、供給はされてても、それだっていつ途絶えるか分からないから、まだ余裕があるうちにさらに対策をってことだ。


これについて星谷ひかりたにさんは、


「あまり好ましい使い方ではありませんが、緊急事態ですからね。布マスクも洗って複数回使うわけですし、それと同じと考えればいいでしょう」


だって。その上で、


「ただ、増産体制は整いつつあるようなので、現時点での予測ですと夏には品薄が解消される見通しです」


とのことだった。そうだよね。需要がそれだけあるなら作る方もそれに合わせて作るよね。とは言え、


「逆に、『新型コロナウイルス感染症』が終息した際に、供給過多となった分が大量の在庫として残ってしまう可能性もありますが、それについては、品物自体が賞味期限や消費期限があるものでもありませんし、時間を掛けて生産調整することになるでしょうね」


とも言ってたから、そういう部分でも悩ましい問題ではあるみたいだ。


だけどそれでも、ないよりはマシな気がする。元々、花粉症対策とかもそうだし病院や介護施設とかで必ず需要はある品物だからね。


『SANA』の商品を買ってくださったお客さんへのお礼としてマスクを同梱してるのも、評判がいいそうだ。なので、供給が途絶えない限りは続けることになった。


けれどその一方で、『SANA』の売り上げも、上昇傾向だったものが頭打ちになってきてるらしい。世間でも、倒産や閉店という形で職を失う人が出てきてるそうなので、いよいよ厳しくなってきたのかもしれない。


「常連の人からもね、『バイト先が潰れて、今、次のバイトを探してるところです。だからしばらく『SANA』のドレスも買えないですけど、バイトが見付かったらまた買いますから、それまで頑張ってください。応援してます』ってメッセージが届いたりしてるんだよ。本当にありがたいよね」


とも、玲那が言ってた。まさに『正念場』ってことなんだろうな。



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