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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百七十八 玲緒奈編 「迷惑を掛けてやりたい相手」

五月十日。月曜日。晴れ。




本当なら今日から学校が再開されるはずが、十日間、再度延長になった。




『あの人やお姉ちゃんに対しては、『むしろ迷惑を掛けてやりたい』って本音はある』


千早ちゃんのその言葉には、僕も共感しかない。僕も、自分の両親や兄には、いくら迷惑が掛かったって気にならないし、むしろ迷惑を掛けてやりたいって願望はある。あるけど、両親はすでに他界してるし兄は行方不明だからどうにもならないし、加えて、両親や兄に迷惑を掛けるようなことをすれば、沙奈子や玲緒奈れおなや絵里奈や玲那にまで迷惑が掛かるのが分かるからやらないだけだ。


千早ちゃんも、『あの人』、つまり実のお母さんに対しては『迷惑を掛けてやりたいっていう願望』があるってことなんだろうな。


僕は沙奈子にとって、『迷惑を掛けてやりたい相手』になっていないだろうか……?。


それがいつも気になってる。


『迷惑を掛けてやりたいから掛けるとか、おかしい!』


と言う人もいるだろうけど、だったらどうして、ネットとかで見ず知らずの赤の他人を罵ったりしてるの?。そんなことされたら、された方はいい気がしないよね?。迷惑に感じるんじゃないかな。そうやって相手が迷惑に感じるようなことを、どうしてするの?。『迷惑を掛けてやりたい相手』だと思ったからするんじゃないの?。


だったら僕は、沙奈子にとっての『迷惑を掛けてやりたい相手』にはならないようにしなきゃと思う。


もちろん、生きてるだけで迷惑を掛けてしまうことだってあるから完全には無理でも、『わざと迷惑を掛けてやりたい』っていうのは避けなきゃと思うんだ。


だとしたら、僕は、沙奈子に対して横柄に振る舞ったり横暴に振る舞ったり、理不尽に振る舞ったりはしないでおかなくちゃ。沙奈子は『僕とは別の人』なんだ。その沙奈子を人として敬うのは、当たり前のことなんだ。そうして僕が沙奈子を敬う姿勢を見せていれば、沙奈子も、そして玲緒奈れおなも、そんな僕の姿を見て学んでくれるんじゃないかな。


『どうするのが他人を敬うことになるのか分からない』


そんなことを言う人がいるのは、それだけ、親が『他人の敬う姿勢』を見せてこなかった証拠だと僕は感じる。親が分かっていないから、子供もそれを学びようがなかったんだろうなって。


言葉でうまく説明できなくても、実際の振る舞いでやって見せればいいと思うんだ。相手を馬鹿にしない。見下さない。見くびらない。蔑まない。いきなり否定しない。丁寧に接することを心掛ける。


沙奈子は、決して人付き合いは上手じゃないけど、少なくともそれはできてると思う。



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