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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百七十四 玲緒奈編 「労って敬うのは」

五月六日。木曜日。晴れ。


今日は暑いくらいに暖かい。




『何か辛いことはない?』


僕の問い掛けに、沙奈子は、


『別に……、ないかな……。水族館に行けないのは残念だけど……』


と応えてくれた。でも、もちろん、言葉だけで鵜呑みにしたりはしない。彼女の表情や仕草や、そういうのもちゃんと見た上て、本当に大丈夫かどうかを確認する。


すると、表情も仕草も、普段の沙奈子のままだった。水族館に行けないことが残念なのは確かみたいで『機嫌がいい』とまでは言えないにしても、強いストレスを感じてる様子はない。


勉強の方も、夏休みとかの感じでやれば問題ないそうで、学校から出されてた課題も、滞りなく終わらせられたって。だから今は、自主勉強中なんだ。


最近、星谷ひかりたにさんがとても忙しくて直接勉強を見てあげられないそうだけど、それについても、星谷さんが出先からビデオ通話で参加してくれたりもして、千早ちはやちゃんも落ち着けてるみたいだ。千早ちゃんにとっては、星谷さんこそがお母さんみたいなものだからね。


だけど、ビデオ通話越しであっても、ちゃんと気にかけてくれてるのが分かるから、納得はできてるんだろうな。


その一方で、ビデオ通話での参加については、星谷さん側も、大希ひろきくんの顔を見たいからというのもあるのは確かで、


「彼に労わってもらえるだけで私は頑張れます」


とも言ってたな。今は、海外と行き来するのもいろいろ大変なそうだから、海外については代理人を立てていろいろしてるそうだけど、同時に、ビデオ通話での会議も積極的に活用してるって。


大変な中でも、いろいろ工夫して対処してるのがすごいと思う。僕たちも見倣わなくちゃ。


それと同時に、家庭でちゃんとストレスを解消して、他人にストレスを転嫁したり、八つ当たりしないで済むようにしなくちゃって改めて思う。


この世の中には、家庭でこそストレスを抱え込んでる人も多い。沙奈子や玲那や千早ちゃんや結人ゆうとくんや波多野さんや田上たのうえさんもそうだけど、僕や絵里奈だって、両親がいた家庭には安らぎなんてなかった。家にいること自体がストレスで、学校にいる時の方がまだマシだった。学校も、イジメとかが当たり前だったりしたけど、それでも家よりマシだったんだ。


だからこそ僕は、そういう家庭を再現したくないんだ。家族がお互いに労いも敬いもしてない、他人よりも信用できない家族でいたくないんだ。


それを考えれば、沙奈子を、玲緒奈れおなを、絵里奈を、玲那を、労って敬うのは、僕にとっては当たり前のことなんだ。



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