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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百六十二 玲緒奈編 「異常な執着を見せて」

四月二十四日。土曜日。晴れ。




大希ひろきくんやイチコさんは、他人に対して横柄でも居丈高でもない。感情豊かなのに、同時に感情的になって怒鳴ったりってことがないんだ。


それは、二人の父親である山仁やまひとさんがそういう人だったからだっていうのをすごく感じる。


山仁さんは、二人が赤ん坊だった時から積極的に関わって、二人を『自分とは別の人』として敬ってたそうだ。そんな父親の姿を見てたから、二人にとっては『他人を敬う』のは当たり前のことなんだ。容姿とか趣味とか服装とか成績とか学歴とかそんなことで他人を馬鹿にしたりしないのが、二人にとってはむしろ『当たり前』なんだよ。


だから僕も、玲緒奈れおなの『手本』にならなくちゃって思う。


他人にストレスを転嫁することで自分を癒さなくちゃいけないような家庭にはしない。


他人に八つ当たりしなくても家に帰れば素直な自分の気持ちを打ち明けられる。


それを実現するためには、僕が、沙奈子や玲那や玲緒奈を『人として敬う』というのを実践しなきゃいけないと思うんだ。


僕の接し方の真似をしてくれるだけで、他人を労わる振る舞いができるように。


些細なことで怒鳴りつけたり苛々してる様子を見せてたら、子供は『それが普通』と思ってしまうんじゃないの?。だから、他人の些細な振る舞いだったり、ちょっと自分の思い通りにいかなかっただけで感情的になって、怒鳴ったり罵ったり暴力を振るったりってことになるんじゃないの?。


結人ゆうとくんも粗暴でキレやすい一面があるように見えるけど、それは完全に、実の母親とその交際相手の振る舞いそのものらしい。


千早ちはやちゃんも同じ。波多野さんがカッとなると自制が効かなくなる部分も、ご両親にそういう部分があったって。


田上たのうえさんも、お母さんが他人を平然と罵る人だったことで、イチコさんと出逢う前は、気に入らないことがあると悪態を吐くところがあったそうだ。


結局、親の振る舞いを見てたことで『そういうもの』って思ってたんだなって感じる。


でもその一方で、星谷ひかりたにさんの場合は、ご両親はとても立派な人なのに、星谷さん自身になにか理不尽なことをするような人じゃなかったのに、イチコさんに出逢うまでは、他人を見下し嘲り蔑ろにする人だったとも。


それについては、星谷さん自身が、


「私の両親は、企業人としては立派な方々ですが、実は子供との接し方が分からなくて、シッターに任せきりだったそうです。そしてシッターの方は、仕事に忠実なあまり私の言いなりで、それがゆえに私は自分が特別な存在であると勘違いしてしまったのだと思われます。それに加えて、両親に振り向いてもらいたいあまりに優秀な自分であることに異常な執着を見せてしまった。結局、本質的には自己肯定感が低く、自己顕示欲と承認欲求を拗らせてしまっていただけなんだと今では思うのです」


って言ってたな。



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