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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百六十一 玲緒奈編 「座ってますよね?」

四月二十三日。金曜日。晴れ。




「座ってる…?。ねえこれ、座ってますよね?」


僕がいつもどおり在宅で仕事をしていると、絵里奈が急に声を上げた。


「え?」


思わず振り返ると、絵里奈の膝にちょこんと座った玲緒奈れおなの姿が。絵里奈の体にもたれかかってるわけじゃなくて、確かに玲緒奈自身が自分の体を支えて座ってたんだ。でも、すぐにふらふらってなって、絵里奈の体にもたれかかったけど。


だけど、間違いなく、ほんの何秒かだとしても、座ってた。


「ぷふ~」


僕と絵里奈が自分に注目してるのを察してか、玲緒奈はまた『どやあ!』って自慢げな顔をしてた。


「すごいね!。おっちんできたね!」


絵里奈が満面の笑顔で玲緒奈を讃える。僕も自然と顔が緩んでしまう。沙奈子はいつもどおり三階で千早ちはやちゃん、大希ひろきくん、結人ゆうとくんと勉強中。玲那は一階で『SANA』の仕事。立ち会えなかったのは残念だけど、そういうものだろうな。


ここであんまり騒いでもあれだし、教えるのは集まった時でいいよね。


ああ、子供ってどんどん成長していくなあ。すごいよ。そしてたぶん、この家で一番、笑顔に包まれた環境で育ってると思う。今の玲緒奈と同じ環境で育ったのは、大希くんとイチコさんだけかな。玲緒奈も大希くんやイチコさんみたいに育ってくれたらいいと思う。


そのためには、ちゃんと、玲緒奈に向き合わないといけない。僕と同じ『人間』なんだってわきまえないといけない。


赤ん坊だからって『人間以外の動物』じゃない。人間は『人間以外の動物』を生まないんだから。僕がいかに玲緒奈を人として敬えるか、僕の接し方を見てこの子は人間としての在り方を学ぶんだ。


しゃべれないから、言葉が分からないから、だからこそ、僕や絵里奈や沙奈子や玲那の振る舞いを見て、


『人間としてどう振る舞うか』


っていうのを学んでる真っ最中なんだ。


自分より弱い相手、立場が下の相手、抵抗できない相手に、怒鳴って威圧して横柄に振る舞って従わせようとしてたら、それを学び取って、自分より弱い相手、立場が下の相手、抵抗できない相手に対してそういう接し方をする人になって当然だと思う。


そうだよ。自分より強い相手、立場が上の相手、反撃してくる相手に対してはおとなしくしてても、そうじゃない相手には居丈高になる人っているよね。ネットの匿名に隠れれば途端に強気になる人とかも。


そういう人って、結局、親がそもそもそういう人だったってことなんだと思う。


自分より弱い相手、立場が下の相手、抵抗できない相手には、怒鳴って威圧して横柄に振る舞って従わせようとするっていうね。


じゃなきゃ、なんでそうなるのか分からないよ。



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