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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百六十 玲緒奈編 「理由なんてどこにもない」

四月二十二日。木曜日。晴れ。




『面倒くさいから』


『関わりたくないから』


だから『イジメが行われてる』って事実から目を逸らして逃げてきた。しかも今回のは、完全に犯罪としてのイジメだったよね?。


千早ちはやちゃんは沙奈子の夏休みの工作を壊したけど、それはたまたま手が当たっただけの事故だったし、千早ちゃんがわざと壊したんじゃないのは沙奈子にも分かったからそれをいつまでも引きずったりもしなかった。


その段階で学校が対処してくれたから、沙奈子も千早ちゃんも決定的に傷付かずに済んだ。


どうしてそれと同じことができなかったの?。沙奈子が通ってた学校の先生も『普通の大人』だった。別に特別なすごい能力を持った人たちじゃなかった。ただ、『イジメの疑い案件』の時点でそれを面倒臭くさがらずに対処してくれただけだ。どうして、同じ『大人』なのに、教師なのに、教頭なのに、校長なのに、どうして……?。


『イジメられる側にも原因がある』から?。


だけどそんなの、加害行為を『他人の所為』にしてるだけだよね?。他人の所為にして逃げてるだけだよね?。


僕は、嫌だ。もし、沙奈子や玲緒奈れおなが誰かをイジメてたりしたら、それを『イジメられる側にも原因がある』とか言って『他人の所為』にして自分のやったことから逃げるとか、嫌なんだ。


何より、他人をイジメたりせずにいられない状態で沙奈子や玲緒奈を放っておくのが嫌なんだ。


なんで、そんな状態の子供を放っておけるのかが、僕には分からない。それを放っておけるような人が『大人』だなんて、意味が分からない。


そういうことから目を逸らして、見ないフリして、逃げてるような人が『大人』とか、そんな大人、尊敬とかできるわけないじゃないか。


沙奈子や玲緒奈がそんな形で命を落とすのも絶対に嫌だけど、沙奈子や玲緒奈がそんな形で誰かの命を奪うのも絶対に嫌だ。許さない。僕の子供達にそんなことをさせる僕を、僕は許せない。


誰かをイジメてストレスを転嫁するくらいなら、僕に当たってくれたらいい。沙奈子や玲緒奈に対して何の責任も負わない赤の他人が犠牲になる必要なんか、どこにもない。


僕は、沙奈子や玲緒奈が誰かをイジメたりしてるのを、放ってはおかない。


沙奈子を自分の子供として受け入れたのは僕だ。


玲緒奈を勝手にこの世に送り出したのは僕だ。


その僕が、あの子たちが他の誰かを傷付けて苦しめることを許して放っておく理由なんてどこにもない。


その覚悟があるから僕は『親』になったんだ。



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