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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百四十八 玲緒奈編 「本当に甘えているよね」

四月十日。土曜日。晴れ。




『新型コロナウイルス感染症』のことについては、もう、自分たちに直接関係したことやよっぽどのことがない限りいちいち触れないようにしようと思う。


『自粛自粛』言われるのはいい気はしなくても、世の中の動きに一喜一憂したって、僕の力じゃどうすることもできないから。


僕たちは、自分にできることをするだけだ。


ただ、世の中には、周りから言われることに無暗に反抗することが『正しい』『かっこいい』と思ってる人がいるらしい。


幸い、そこまでの人は身近にいないから助かってるんだけど、田上たのうえさんが、


「お母さんが、『あんなのただの風邪でしょ!?。バカバカしい!』とか言い出して、遊び歩いてるんだよ。お父さんが稼いだお金で。でもさ、『言いたいことが言える社会』ってことは、お母さんみたいなことを口にして行動できるってことだよね……。娘としちゃマジでカンベンしてほしいんだけどね……」


ビデオ通話での『会合』でそんな風にこぼしてた。


それに対して絵里奈が、


「そうだよね。なんでも思ったことをそのまま口にしていいとか行動に移していいってことになったら、フミちゃんのお母さんみたいなのも認めなくちゃおかしいよね。なのに、『言いたいことが言える社会』ってのを標榜してる人たちは、『自分たちにとって都合の悪い考え方はするな。そんなことを考えなきゃ、都合の悪いことを言うのもいなくなる』って考えてるみたい。でもそれって要するに『思想統制』だよね。思想統制を目指した国とか社会とかはこれまでにもたくさんあったと思うけど、そういう国や社会がどうなったか、考えてみないのかな」


憂鬱そうな表情でそう言った。


するとイチコさんも、


「絵里奈さんの言うとおりだと私も思う。お父さんも言ってたけど、『言いたいことを言いたいように言える』ってのと『気遣い』ってのは真逆なんだよ。他人を『気持ち悪い』って感じたからってそれをそのまま口にするのは『気遣い』じゃない。自分は言いたいことを言葉も選ばずにそのまま口にしたいのに他人からは気遣ってもらいたいなんて、どうかしてる」


って。


だから僕も言ったんだ。


「そうだよね。自分が気遣われたいんだったら他人も気遣わないとおかしいと僕も思う。そのことをこうやってみんなと確認できるのはすごく嬉しいし、ありがたい。大事なことだと感じる。なのに、そういうのを『面倒くさい』とか『うっとうしい』とか考える人も、自分は他人から気遣われたいと思ってたりするんだよね。自分は『面倒くさいから』『うっとうしいから』って言って他人を気遣わないのに。


本当に甘えているよね」



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