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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百三十七 玲緒奈編 「何も対処しなかったんだ」

三月三十日。火曜日。晴れ。




マスクとかティッシュとかトイレットペーパーの『買い占め・転売』の件については、前のアパートの住人の何人かが『そこまで気にしなくても大丈夫だろう』と備えてなかったことで、他の、ちゃんと備えてた人たちから少しずつ分けてもらうことで何とかなってるらしい。


「マジでどこにも売ってないんだ!。有り得ない!」


とか言ってたって、波多野さんが。


そのことについて波多野さんも、


「正直、せっかくピカが備えるように言ってくれてたのに聞かなかったんだから『自業自得だろ』って思わなくもないんだけど、そこでそれを言っちゃうと、うちのバカ兄貴についても、はっきり言って予兆はずっとあったのになんにも対処しなかったことであんな事件が起こっちゃったうちに特大のブーメランが返ってくるのは分かるからさ。ごちゃごちゃ言わないようにしなくちゃって思ってる」


と言ってたりもした。


確かに、他でもない波多野さん自身がお兄さんからの被害を受けててそれをご両親にもそれとなく匂わせてたらしいのにまったく取り合おうとせずに放置して結果としてあの事件が起こったわけで。


さらに波多野さんは、


「世の中には、犯罪者とその家族を叩くことで防犯に繋がるとか思ってるのがいるみたいだけど、それってまったく根拠がないと私は実感したよ。だって、うちの両親だってニュースとかで高校生とか大学生とかが事件を起こしたのを見て、『なんで親は気付かないんだ?』とか言ってたしさ。私はそれを見て、『あ、こりゃダメだ』って思ったんだ。私があいつに散々イタズラされてたのをやめさせてほしいって訴えてきてたのに無視してんだから。それでも、あいつ自身がよくないことをしてるって自覚して自分でも『やめなきゃ』って思っててくれてたんならまだしも、ぜんぜん、これっぽっちも思ってなかったからね。本人に任せてるだけじゃやめるはずもなかったんだって今なら分かるよ。親が止めなきゃダメだったんだよ。あれは」


って。


正直、僕も、兄が何人もの人からお金を借りては踏み倒してっていうのをしてたことは、もう、家にいた頃からその予兆はあった。他人から借りたお金や漫画やゲームを借りっ放しにしたのは、中学生の頃からすでにあったんだ。兄は子供の頃から自己中心的で他人が自分に合わせるのが当然、自分にお金を融通してくれたりほしいものがあれば用意してくれるのが当たり前って考えてる傾向にあったのに、両親は何も対処しなかったんだ。


それで、連絡も満足に取れなくなってから『面目を潰された』『裏切られた』みたいに言ってたんだから、本当に意味が分からないよ。



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