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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百二十九 玲緒奈編 「素直に喜びたいと思う」

三月二十二日。月曜日。晴れ。




「ぷーぶ! ぷーぶ! ぷあー! ぶあーっ!」


何やら得体のしれない掛け声を口にしながら、玲緒奈れおなは布団の上で何度も寝返りをうっていた。どうやらそれが彼女の今の『マイブーム』らしい。


それを見ながら、僕も沙奈子も絵里奈も玲那も、


「お~!」


「わあ…♡」


「あらあらあら♡」


「おほほほほ♡」


ついつい、声を上げてしまう。それがまた嬉しいらしくて、玲緒奈はさらにご機嫌でごろんごろんと転がってた。


ところで、一般的にはもう離乳食を始めててもおかしくない時期らしいけど、僕たちは少し余裕を見て始めようと思ってた。玲緒奈の首がすわるのもちょっと時間がかかったしね。


でも、もう、六ヶ月。そろそろ大丈夫かなということで、『ごろんごろん』が収まると、すりおろしたリンゴを絞った果汁を水で薄めたのを、スプーンで、絵里奈に抱かれてる玲緒奈の口に含ませてみた。すると、


「ん……っ!」


玲緒奈がハッとした表情になる。


今までは絵里奈のおっぱいとミルクだけだったところに初めての味だったことで、何か感じるところがあったのかもしれない。しかも、僕が手にしたスプーンを目で追ってるのが分かったら、もう一度、あげてみたら、口をもにもにさせて、


「むぷーっ!」


って一声。もしかしたら気に入ったのかな?。


そう思って三口目をあげると、今度は手をばたばた。


だけど、四口目と思って近付けたら、ぷいっと顔を逸らした。『もういい』っていうことかもしれない。


だからゆっくりと片付けたんだけど、玲緒奈はそれを見ながらも別に抗議するようなそぶりも見せなかった。満足したということなのかな。


「美味しかったですか?」


絵里奈が尋ねると、


「ぷ…」


頭を絵里奈の方に向けて、『うん』って言いたげな感じで応えてくれた。


そんな様子にも、家族全員。笑顔になる。




ところで、僕は今月いっぱいで在宅勤務を終えてまた会社に出勤することになるはずだったんだけど、『新型コロナウイルス感染症』のこともあって、当面の間、在宅勤務を続けることになった、


せっかく、玲緒奈が絵里奈にミルクを与えてもらっても泣かないようになったのに、皮肉な話だな。


ただ、こうやって玲緒奈との時間を確保できることになったのは、素直に喜びたいと思う。


そこに、チャイムが鳴って、


「こんにちは~!」


インターホン越しに千早ちはやちゃんの元気な声が。沙奈子と一緒に勉強するためだ。しかも今日は、


「おじゃましま~す♡」


「おじゃまします」


千早ちゃんと大希ひろきくんの声に続いて、


「おじゃまします……」


結人ゆうとくんの声も。千早ちゃんと大希くんが、先に鷲崎わしざきさんの部屋に寄って、結人くんを誘ったんだって。



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