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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百二十三 玲緒奈編 「無理に自分の思い通りに」

三月十六日。火曜日。曇りのち雨。




昨日の和歌山に続いて、茨城でも地震が。いずれは必ず来ると言われてる巨大地震の予兆なんじゃないかと思ってしまうけど、この、『新型コロナウイルス感染症』の中でもしそんなことが起こったらと思ってしまうけど、僕個人がそれに怯えてうろたえて何かが変わるのかと言われたらそんなはずがないから、僕たちはただそれに備えるだけだ。


だからそのことは今は置いといて、家族がいかに穏やかに幸せに暮らしていけるかを考えたい。


そしてそれを考えるからこそ、


『自分の思い通りにいくはずがないこの世というものとどう向き合うか?』


を心に刻んでいきたいんだ。


だって、今回の『新型コロナウイルス感染症』の件や、地震についてだって、個人の力でどうにかできることじゃないよね?。なにより、


『生まれてくるかどうかさえ、自分では決められない』


わけで。


そうだよ。この世は、『自分の思い通りにはならない』というのが大前提のはずなんだ。どんな英雄だって聖人だって賢人だって、何もかもすべてが自分の思い通りになるわけじゃない。どんな偉業を成したって、不老不死を願ったって、最後には必ず死ぬ。


それ自体が『普通』で『当たり前』のことのはずなんだ。


その、自分の思い通りにならないこの世で、ほんのいくつか自分の望みを叶えられたら、それで十分だと思う。


英雄や聖人や賢人は、僕たちよりはたくさんのことを成し遂げるかもしれないけど、だれもが英雄や聖人や賢人になれるわけじゃない。むしろこの世の大部分の人が、本当にちっぽけなことしか実現できない『凡夫』だよね。


英雄や聖人や賢人を目指したり、『世界一の富豪』や『権力者』を目指すのも自由だとは思うけど、だからって他人を傷付けていいわけじゃないと思う。


玲那の両親は、楽して贅沢をするために自分の実の娘を『商品』にして、お金を儲けようとした。だけどその結果として、母親は、修理費をケチって放置していた物干し台が壊れて転落死。父親は、商品として人間扱いしてこなかった実の娘に包丁で刺された挙句、癌で死んだ。しかも、どちらも、『近々壊れるだろうな』『もしかしたら癌とかかもしれない』と薄々感じながらも何もしなかったらしいというのが、それぞれの知人の証言で明らかになってるって。


『自分の思い通りにはならないこの世』で、無理に自分の思い通りにしようとして道理を捻じ曲げて、それが自分に返ってきたってことなんだろうな。


僕は、自分もそうだけど、沙奈子や玲緒奈れおなにそんな生き方をしてほしくないんだ。


だからこそ、『自分の思い通りにいくはずがないこの世というものとどう向き合うか?』を、教えてあげなくちゃと思うんだ。



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