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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百二十 玲緒奈編 「何が原因でそうなって」

三月十三日。土曜日。曇り。




『虐待が連鎖するなんてデータはない』


もしこれが本当なら、それはつまり、ことここに至っても、本気で本腰を入れて『虐待』というものに大人たちが向き合ってないってだけのことなんじゃないかな。


いまだに『躾』や『指導』と称して暴力を振るうどころか、言い訳を並べてそれを正当化しようとする大人が少なくないっていう現実が、それを物語ってる気がする。


だけど、世の中がそうだとしても、他人がそうだとしても、だからといって僕が沙奈子や玲那や玲緒奈れおなに『躾』と称して暴力を振るっていいという理由にはならない。


『世の中がこうだから』


『みんながこうしてるから』


なんて言って『世の中の所為』『他人の所為』にして、僕の両親や絵里奈の両親や沙奈子の両親や玲那の両親や千早ちはやちゃんの両親や結人ゆうとくんの両親がしてきたことを僕もやっていいなんて思わない。


僕は、嫌なんだ。僕自身がいまだに憎んでいる僕の両親と同じになってしまうことが。だったら、そうならないように努力するのは当然だよね。


『世の中がこうだから』とか『みんながこうしてるから』とか言って、甘えて、自分が嫌ってる憎んでる相手と同じになってしまうのが、『大人』のすることなの?。


その程度の努力もできない『歳をとっただけの自称大人』がいくら外面や体裁を整えていたって、そんなものは『中身のない張りぼて』にしか思えないよ。


データがあるとかないとか、そんなことを言い訳に目の前の現実とも向き合わないなんて、僕はしたくない。


玲那も言ってた通り、『やられたらやり返す』みたいに言いながら、実は自分に対して理不尽なことをしてきたわけじゃないまったく無関係な人に鬱憤をぶつける人はものすごく多い。玲那が事件を起こした時に、被害者でもないのが玲那を攻撃しまくってた事実からも明白だ。


『自分がやられたわけでもないのに、徹底的に痛めつけようとする』


そんな人が、子供が自分の気に入らないこと、『自分にとって悪いこと』をした時に、過剰に攻撃しないという保証がどこにあるの?。


玲那に刺されたわけでもない人たちが、『正義』を盾に彼女に『死ね』と呪いの言葉を浴びせて、本当に死ぬまで追い詰めようとしてたのは、何?。


そういう人たちが『躾』という言い訳を得たら何をするのか、僕は、考えるだけでも恐ろしいよ。


そして、その人たちは、どうしてそんな考えに至ったの?。何が原因でそうなってしまったの?。


僕は、それを考えるんだ。『どうして?』って。



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