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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百十八 玲緒奈編 「丁寧に説明しようと思う」

三月十一日。木曜日。晴れ。




今日は、東日本大震災から十年。テレビとかでもその話題で持ちきりだ。


思えば、あの時も、スーパーの棚からミネラルウォーターがなくなったりしたな。


だから今回の『新型コロナウイルス感染症』でマスクやティッシュやトイレットペーパーが棚からなくなったことについて、そんなに驚いてはいないんだ。転売とかしてる人たちについても、『なんだかなあ』とは思うけど、情けないとは思うけど、僕が憤ったってやる人はやるだろうから、僕たちとしては、そういうところからは買わないというのを貫くだけだ。


ストックは、まだ十分にある。無駄遣いをしないように心掛ければ大丈夫だと思う。


『SANA』に納品されるものについては、従業員であるイチコさんや田上たのうえさんのために使えばいい。


星谷ひかりたにさんの提言もあって、山仁やまひとさんや波多野さんや鷲崎わしざきさんのところでも、十分な余裕が確保できてるそうだ。


ただ、アパートの住人の人の中には、『まさかそこまでいかないだろう』って考えて、ストックを確保しなかった人もいるらしい。だから、マスクを洗って再利用したり、トイレットペーパーを節約するために外で用を足して帰ったり、ってしてる人もいるって。


さらに、田上たのうえさんはちゃんと備えてたけど、田上さんのお母さんはそこまで考えてなかったそうで、スーパーの営業時間前から並んだり、お父さんに、


『役所なら備蓄があるでしょ。持って帰ってきてよ!』


とかお願いしてるらしい。


でもそれは、厳密には『窃盗』や『業務上横領』にあたる可能性のある行為だからね。お父さんはのらりくらりと躱して、お母さんの言うことは聞かないようにしてるとも。


それが正解だと思う。もし、役所の備蓄を勝手に持ち帰ったりしたのを内部告発でもされたら、下手をすると職を失うことにだってなりかねない。そんなことになったら、マスクやティッシュやトイレットペーパーどころの騒ぎじゃない。田上さんのお父さんの判断は正しいと、僕も思う。僕ももちろん、会社に出勤しても備品を持ち帰ろうなんて考えない。


そういうことをしても結果として咎められずに済む人もいるかもしれないけど、僕はそんなことを羨ましいとか妬ましいとか思わない。『自分もやればよかった』とか思わない。ただただ大人として情けないと思うだけだ。


もし、そういう人たちが『親』だったとしたら、子供に対して偉そうなことは言えないよね。『躾』なんてする資格ないよね。って感じるだけだ。


本当に『躾』が必要なのは誰なの?。ってね・


僕は、今はまだ玲緒奈れおなを叱らない。僕の言ってることをちゃんと理解できるようになるまで待つ。そうして、玲緒奈が僕の言ってることを理解できるようになった時には、何が良くなかったのかを丁寧に説明しようと思う。



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