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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百六 玲緒奈編 「好きにしな」

二月二十七日。土曜日。晴れ。




政府が、『全国の小中高校一斉休校』の方針を打ち出したけど、今のところ、沙奈子が通う中学校がどうするのかについては、まだ分からない。


世の中では、保護者からの戸惑いや反発が出てるみたいだ。


だけど僕は、敢えて政府の判断をあれこれ言う気にはなれなかった。まったく新しいウイルスが現れたことで、結局、誰も『完全な対処法』なんて分かっていないだろうから、政府さえ手探りでやるしかできないだろうな。っていうのは僕にも分かるから。


だとしたら、僕たちは僕たちで、状況に合わせて対応していくしかない。泣き言を並べたり文句を言うだけじゃ、余計に迷走するだけのような気がするし。


そんなわけで、


「もし、学校が休みになるとしたら、夏休みとかの要領でうちに集まって自主勉強をしてもらったらいいと思う」


いつものように千早ちゃんと大希くんが来て三階で沙奈子と一緒に過ごしてる時にビデオ通話でみんなで集まり、提案させてもらった。


それに対して、


「私はそれでいいと思います」


と、絵里奈。


「私も、別に反対する理由ない」


と、玲那。


肝心の、沙奈子と千早ちゃんと大希くんは、


「私も、大丈夫……」


「ノープロブレム!」


「僕もそれがいい」


と言ってくれた。


ただ、無理してないか、本当は嫌だけど僕に気を遣ってそう言ってるだけじゃないのか、表情や仕草から感じ取ろうと注視する。でも、いつもどおりの三人だった。


学校に行けなくなるかもしれないのは残念でも、事情は分かってくれてるみたいだ。


その上で、夕方には、星谷ひかりたにさんや山仁やまひとさんとも、ビデオ通話で話し合う。


「そんなわけで、千早ちゃんや大希くんと一緒に勉強してもらえればと思うんですが、いかがでしょう?」


「山下さんさえよろしければ、私としては助かります」


「私も、特に異論はありません」


山仁さんも星谷さんもそう言ってくれる。


千早ちゃんの場合は、本当ならお母さんにも承諾を得ないといけないはずだけど、千早ちゃん曰く、


「一応は聞いてみたけど、『好きにしな』だってさ」


とのことだった。


しかもその時のお母さんの音声も録音、星谷さんに音声データを渡したって。


実の母親に対してそこまでしなきゃいけないのは残念だけど、これも必要なことなんだろうな。正直、僕も、自分の両親を相手にそういう話をするとなったら、発言については録音しておかなきゃいけないなって思ってしまう。


千早ちゃんのお母さんは、仕事に対しては熱心で優秀な人なんだけど、反面、『母親』としては残念な部分のある人だった。


だけどそこは僕たちが補えばいいだけのことだと思ってる。


家庭のことで何かあったら沙奈子が悲しむからね。



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