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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百一 玲緒奈編 「どれほど気を付けてるつもりでも」

二月二十二日。月曜日。晴れ。




今日の昼間は、暑いくらいに暖かかった。


ちなみに今日も、打ち合わせのために会社に行く。でも、玲緒奈れおなが絵里奈でも大丈夫になってきてくれて、少し安心だ。


ただ、僕がいない間に玲緒奈がうつぶせ寝になってそのまま窒息なんてことがないか、っていうのは心配だけどね。


でも、それについては、絵里奈を信じるしかない。


僕たちは決して、一人で玲緒奈を育ててるわけじゃない。絵里奈と僕とで力を合わせて、その上で、沙奈子や玲那の力も借りて、家族みんなで育ててるんだ。


それを信じないでどうするの?って話だよね。


信じることもできない人と結婚するのも勝手かもしれないけど、信じることもできない相手と結婚した両親の下に生まれるというのは、子供にとってどうなんだろう。


自分の両親がお互いに相手のことを信じていない。信じることができない。そういう姿を子供の前でずっと見せ続けるというのは、それは子供にとって良い影響になるんだろうか。経済的に豊かだったり、いい学校に通わせたり、そういうことで、


『お互いに相手を信じることもできない、敬うこともできない、労ることもできない。それどころか、裏ではお互いに蔑み合い、罵り合い、貶め合う』


両親のそんな姿を子供に見せる影響が、帳消しになるんだろうか?。


僕にはそれが実感できない。それよりもむしろ、『どんなに裏では好ましくないことをしていたって体裁だけ整えたらいいんだ』って考えるようになってしまう可能性の方がずっと高いような気がする。


少なくとも僕は、絵里奈が相手だったらそうはならないって確信が持てたから、彼女と結婚したんだ。彼女を信じる、そして、家族を信じる。信じられる相手だから家族になった。その僕自身の判断を、信じたいと思う。


その上で、『万が一』ということをも、考える。絵里奈の叔父さんのお子さんが亡くなったような事故が起こる可能性は、ゼロじゃないから。


絵里奈の叔父さんのお子さん、つまり絵里奈の従弟は、叔父さんが仕事に出ている間に、自宅で、吐いたミルクを喉に詰まらせて亡くなったらしい。


だからといって、叔父さんの奥さん、亡くなった子の母親が怠慢だったと、僕は、言うつもりはないんだ。


育児に疲れて、つい、気を失うようにして眠ってしまった、ほんの十分やそこらの、本当にエアポケットのような、『魔の一瞬』だったんだと思う。さぼるつもりも怠けるつもりもなかったんだと思う。だからこそ、自分自身を責め続けてしまって、心を病んでしまって、どうすることもできない状態になってしまったんだろうな。


どれほど気を付けてるつもりでも、ほんの数分・数秒も気を抜かずにいられるほど、人間は完璧な存在じゃないはずなんだ。


僕はそれを忘れないでいたいと思ってる。




あと、今日から木曜日まで、沙奈子の学校では『総括テスト』だから、お昼には帰ってくる。


いよいよ、二年生も残り一ヶ月か。



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