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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七百 玲緒奈編 「親に縛られる必要はないと」

二月二十一日。日曜日。晴れ。




先日までの冷え込みが嘘のように、今日は暖かかった。エアコンの暖房だけでも暑く感じられて、窓を開けて換気する。


でも、世間は、『新型コロナウイルス感染症』で大変なことに。感染者の増加に歯止めがかからなくて。


今のところ僕たちの周りでは発症者はいない。そういう意味ではいまだに『対岸の火事』と言えなくもないけど、だからと言って油断する気にはなれなかった。もうこの状態が『普通』なんだと考えて、その中で淡々と僕たちの生活を維持する。


掃除を終えてみんなでリビングで寛いでると、チャイムが鳴る。


千早ちはやちゃんと大希ひろきくんだ。しかも、結人ゆうとくんも一緒らしい。うちに来る途中でたまたま出会って、合流したんだって。


誰に言われるでもなく、結人くんが自分からうちに来るようになってくれた。


それによって喜緑きみどりさんとの距離感も計ってるのかもしれない。まだ社会人になりたてで人生経験も必ずしも十分じゃない喜緑さんがいきなり中学生の男の子の父親になるというのは、さすがにハードルが高いんじゃないかな。社会人になってからしばらく経つ僕だって、沙奈子のことは、すごく負担だったのも正直なところだ。沙奈子と同じ年齢の娘がいる女性と付き合ってたとして、それで実際に結婚にってなったら、思い切れた自信がない。


その点、喜緑さんは鷲崎わしざきさんとの結婚も本気で考えていると玲那が言ってた。


「とっくん自身からの証言ですな。『織姫さんと結婚を真剣に考えてます』ってさ。ただ、とっくんの両親はあんまりいい顔をしてないみたいで」


だって。


なるほど、無理もないかもしれない。『血の繋がらない中学生の男の子を扶養してる何歳も年上の女性』となると、親としては心配して当然かもね。僕たちは鷲崎さんがどんなに素晴らしい女性か知ってても、喜緑さんのご両親にはそれは関係ないし。加えて、喜緑さんは、鷲崎さんとお付き合いするために大学院をやめて就職した。それも、通ってた学部とは何の関係もない、個人経営の印刷会社。給料だって決して高いとは言い難い。


僕自身、親の立場で想像してみると、すぐには喜べない気がする。


それでも、喜緑さん自身はもう成人した社会人なんだ。親の承諾がなくても結婚することだってできる。もちろん、祝福してもらえたらそれにこしたことはなくても、僕や絵里奈だって親に祝福してもらってるわけじゃないけど、こうやって幸せでいられてる。親に縛られる必要はないと思うんだ。



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