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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百九十七 玲緒奈編 「こういう時には焦るものだ」

二月十八日。木曜日。曇り。夕方から雪。




今日も寒い。完全に『寒の戻り』というやつだと思った。


と言うか、すごく寒い。エアコンだけじゃ間に合わなくて、またファンヒーターまで使うことになった。しかも、夕方からは雪まで降り始めて。


もしかしたらまた積もるかなと思ったけど、さすがにそこまでじゃなかったな。


玲那が事件を起こしてしまった年は特にすごかったけど、それ以降は、あれほどじゃないな。今年はどうなんだろう。


ああでも、『新型コロナウイルス感染症』っていう大変なことが起こってるから、この上、大雪とかは勘弁してほしいと正直言って思う。


そんな願いが都合よく聞いてもらえるわけがないのは分かっていても、願わずにいられないのも人間ってもんだろうな。


玲緒奈れおなにもそれを分かってもらいたいからこそ、僕は冷静になろうと思った。


それと言うのも、いよいよマスクやティッシュやトイレットペーパーが品薄になってきたんだ。


いつもは棚一面に並んでたティッシュやトイレットペーパーがほとんどなくなってて、テレビでは行列もできてるようなことを言っていた。


僕たちは、基本的に夕方以降に買い物に行くからか、その手の行列は見たことがなかった。開店時に並んで、早々に売切れてしまうんだろうな。


星谷ひかりたにさんも言ってたように、そしてテレビでも『メーカーに在庫はありますから焦らないように』みたいに言ってるように、『みんなが落ち着けば大丈夫』なはずなんだろうけど、それでもついついっていうのがあるのが人間ってものなんだと思う。


しかも、『買い占めた上での転売』も横行し始めてるらしい。そして、『買い占めた上での転売』をしてる人から買うということも。


そのことに対して苛立ったところで、たぶん、何も解決しない。苛々するだけ損だ。


「正直、不安もありますけど、『並んででも買わなきゃ』って気持ちにもなりますけど、まだ、蓄えは十分にありますよね」


絵里奈も、ちょっと困ったような表情でそう言った。ティッシュとかトイレットペーパーとか生理用ナプキンとかおむつとか、以前は一ヶ月分くらいストックしていたのを、品薄になる前に少しずつ買い足して三倍まで増やしたから、実際、計算上は、無駄遣いしなければ三ヶ月くらいはもたせられるはずなんだ。


一方で、僕たちはこうやって抑えられてるけど、不安を抑えられない人がいることも、理解しなくちゃいけないと思ってる。それぞれ、事情はあるはずだから。あれこれ言ったって、それは届かないから。


それと同時に、こういう時こそ冷静に対処する大人の姿を、沙奈子や玲緒奈に見せなきゃって思うんだ。


ここで、親である僕たちがうろたえてたら、『こういう時には焦るものだ』って、沙奈子や玲緒奈が学び取ってしまうかもしれない。


僕はそれが怖いんだ。



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