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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百八十七 玲緒奈編 「ストレスが影響した」

二月八日。月曜日。晴れ。




今日は、朝から沙奈子の様子がおかしかった。いつもより表情が冴えない気がしてたんだ。


「大丈夫?」


僕がそう尋ねても、


「うん…、平気……」


と言うだけで。


一応、熱も測ってみたいけど、そっちは平熱だった。だから、


「もし、しんどかったら、ちゃんと先生に言うんだよ」


と釘をさして送り出した。


「大丈夫でしょうか…?」


絵里奈が玲緒奈れおなにおっぱいをあげながら心配そうに呟く。それに対して僕は、


「学校でも、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんや結人ゆうとくんが見てくれてるし、信じよう」


って。


だけど、お昼前に、電話が鳴って、


「沙奈子さんが、体調が優れないということで、今、保健室で休んでもらってます。熱はないものの、念の為、早退を考えていますが、よろしいでしょうか?」


担任がそう告げてきた。


もちろん、僕は、


「はい。それで結構です。待ってます」


と返事をさせてもらう。ここで無理はさせない。あの我慢強い沙奈子が『体調が悪い』と言うんなら、熱がなくてもそうなんだと思う。


ただ、今から思うと、例の『新型コロナウイルス感染症』を疑ってもおかしくなかった気はするかな。


なのに、『気を付けよう』と口ではいいながらも、この時はまったくその発想がなかった。たぶん、星谷ひかりたにさん以外に海外に渡航歴がある人がまわりにいなくて、しかも星谷さんが渡航してたのも一ヶ月前で、それまでなんともなかったから、この時点では『新型コロナウイルス感染症』を疑うという考えに至らなかったんだ。人間の弱さ脆さを実感する。


幸い、そうじゃなかったからいいけど、具合が悪そうにしてたなら、熱がなくてもその時点で休ませるべきだったのかもしれない。沙奈子の場合、元々、ズル休みとかするタイプじゃないし、何より、何日か休んだくらいじゃ勉強にも支障はないし。だってもう、高校受験レベルまで進んでるんだから。今すぐ、高校受験を受けても、「おそらく、市内の公立校であれば、どこを受けても問題なく合格できるでしょう」と星谷さんから太鼓判をもらってるくらいだし。


沙奈子は、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんと、『遊びの一つ』として勉強をしてる。だから大希くんも沙奈子と同等レベル。本人曰く『勉強はあまり得意じゃない』という千早ちゃんだって、「今から頑張れば、十分に沙奈子さんやヒロ坊くんと同じ学校にもいける可能性はあるでしょう」と星谷さんに言ってもらえてる。


楽しんで勉強ができる環境があるというのは、本当に有利だと思う。


帰ってきた沙奈子には、念の為、一階の部屋で休んでもらうことにした。熱も測ってもらったけど、やっぱり平熱だ。


だから一番考えられるのは、


『新型コロナウイルス感染症で世の中が大変なことになりそうだ。っていう不安』


からくるストレスが影響したってこと。


実際、学校が終わってからお見舞いに来てくれた千早ちゃんと大希くんにも普通に応対してたそうだし、夕方にはそれこそ、すっかり元気になってたからね。



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