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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百八十四 玲緒奈編 「家に帰れば安らげるなら」

二月五日。金曜日。晴れ。




僕は、沙奈子や玲那に幸せになってほしい。もちろん玲緒奈れおなにも幸せになってほしい。


でも玲緒奈の場合は、少なくとも沙奈子や玲那が経験してきたようなことは、経験させるつもりもない。だからこそ、沙奈子や玲那には、玲緒奈が得られてる『安らぎ』を今からでも取り戻して欲しいんだ。


そうすることが何より、二人が、自分の中にある激しい部分を表面化させずに済むと思うから。


僕自身、安らぎを実感できているから穏やかな気持ちでもいられてるわけで。


うん、やっぱりそうだと思う。殺伐とした気持ちだと、激しい部分を抑えておくのは難しくなる気がするんだ。それで他人を憂さ晴らしのためにストレス解消のために攻撃するとか、やっぱりわけが分からない。他人を攻撃して傷付けて、それで自分は幸せになりたいなんて。


他人を攻撃して傷付けてってしてる人が幸せになろうとしてることを、素直に喜べる?。


きっと、そんなことないと思う。事件を起こしてしまった玲那に対する世間の反応を見ても、それは一目瞭然という印象しかない。


玲那は、自分がされたことの『復讐』と、この後、自分と同じ目に遭う子供を出したくないという想いから実の父親を包丁で刺した。人を傷付けた。だけど世間の多くの人は、そんな玲那をいまだに赦してない。星谷ひかりたにさんが、玲那に対する書き込みとかを自動で抽出するシステムを開発してもらったそうだけど、やっぱりいまだに『どうせ再犯するだろ』『さっさと死刑にしろ』『生かしておくだけ税金の無駄』とかいう書き込みが散見されるらしい。


こんなに笑顔が可愛くて、優しくて、思いやりがあって、家族のために頑張ってくれてる玲那でさえそうなんだ。誰かを傷付けようとする人の幸せを願ってくれるほど、この世界は甘くないよ。


だからこそ、自分の子供に幸せになってもらいたいなら、誰かを傷付けようとする人間にしちゃいけないと思うんだ。誰かを傷付けようとする行為を正当化する人間にしちゃいけないと思うんだ。


そして、誰かを傷付けずにいられない心理状態にしないためには、穏やかで安らいだ気持ちになれる環境を整えることが大事なんじゃないかな。


僕はそのために努力をする。沙奈子や玲那や玲緒奈が誰かを傷付けずにいられないような心理状態にならないための環境を、この家の中に整えるんだ。


それが、僕の家長としての役目。


真面目に仕事をこなす人間を育てるだけなら難しくないって感じてる。職場で少しくらい辛いことがあっても家に帰れば安らげるなら、また頑張れからね。



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