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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百七十五 玲緒奈編 「本当に抜け目ない人だと」

一月二十七日。水曜日。曇り。




『やはり、『バリアフリー化』や『ハンディキャップ克服』に対する理解や意欲の点で、後れを取っているのは否めません。あちらはそういうものを利益に変えることに躊躇いがなく、鼻の利く出資者達も多いということでしょうね』


星谷ひかりたにさんのその言葉は、僕にもなんとなく分かるものだった。日本では、『儲ける』ってことに対して嫌悪感を持ってる人が多いらしくて、ましてやそれが、ハンディキャップとかに関わることだと、


『慈善事業としてするべきだ!』


みたいな意見が多い気がする。


だけど僕も、『SANA』の運営を傍から見ていて、『利益を出すことが、結局、長くそれを続けるには必要』って改めて感じたんだ。


確かに、『ただの趣味』としてなら、沙奈子と絵里奈がコツコツと作ったものをただネットフリマとかを通じて売っていればよかったのかもしれない。でも、それだと、沙奈子や絵里奈がデザインしたドレスを欲しいと思う人になかなか届かないっていうことも起こってくる。


もちろん、沙奈子や絵里奈自身の手で作った品物についてはこれからもそんなに数は増えないとしても、『二人がデザインしたドレス』は、大量生産することで多くの人が手にすることができて、実際、それで喜ばれてる。


だけどこれは、『利益』を出していかないと続けられないことだ。量産品のドレスの製造を請け負ってくれてる企業には、それに見合った『対価』を支払わなくちゃやってくれないからね。


そこで働く人たちも生きていて、暮らしていかなきゃいけないんだから。


どんなに嫌悪しても、今のこの世界で生きていくには『お金』がいるんだ。お金を稼がなくちゃ生きていけないんだ。誰かが作ってくれた食品や日用品を、対価を支払って買わなきゃいけないんだ。そういう社会なんだ。


その事実とも、僕たちはちゃんと向き合わなきゃいけない。


すると星谷さんも、


「中国において、感染予防のための使い捨てマスクが品薄になっているようです。このまま感染が拡大すれば、さらにそれが顕著になってくるかもしれません。なので、『SANA』のドレスの試作を始めてもらっている日本企業に、合わせてマスクの生産を始めてもらっています。それを、私のつてを使って輸出することになりました。現時点では『SANA』のドレスの生産を本格的に依頼することになるかどうかは不透明ですので、敢えて繋がりを確保しておくために、今の時点で利益が出る事業を始めてもらうことにしたわけです」


とのことだった。


本当に抜け目ない人だと思う。



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