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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百七十二 玲緒奈編 「みんな同じわけじゃない」

一月二十四日。日曜日。曇り。




「フランス国内で初の感染が確認されました」


と、ニュースが告げる。


「とうとう、ヨーロッパにまで……」


絵里奈が、玲緒奈れおなにおっぱいをあげながら心配げに呟いた。僕も、ミルクの用意をしながら、


「なんか、嫌な感じだね……」


と応える。なるべく気にし過ぎないようにしながらも、


「なんか、ちゃんと抑えられてるって印象がないかな~」


玲那もそう口にした。沙奈子も、


「怖いね……」


って。


これでもまだ、どこか、『身近なこと』という印象がなかった。だから僕たちは僕たちで気を付けつつ、なるべく『普段どおり』でいればいいや。って。


沙奈子にも、


「もし何か不安とかがあったら、僕か絵里奈か玲那にちゃんと言ってほしい。沙奈子の不安な気持ちを受け止めるのは、僕たちの役目だから」


改めて告げる。


そうだ。沙奈子は僕の娘で、僕たちの家族なんだ。その不安とかの解消を、他人任せにはしたくない。僕一人じゃ無理でも、絵里奈も玲那もいる。その上で、僕たちだけじゃ無理だってなったら、山仁やまひとさんや星谷ひかりたにさんに力を借りたらいいと思う。


うん、まずは家族の中でって思うんだ。山仁さんもそうしてきたって言ってたし。


なんてことを考えながら玲緒奈のおっぱいとミルクを終えて、みんなで掃除を始めた。そろそろ僕と絵里奈も家のことを少しずつ始めようって思ったんだ。でも、今日のところは、玲緒奈が絵里奈に抱かれてても平気そうだったから絵里奈に抱いてもらって、僕と沙奈子と玲那が、お掃除ワイパーでリビングの掃除をする。なるべく埃を立てないようにっていうのと、玲緒奈が、掃除機が怖いみたいだったからね。


掃除機が怖いと言うか、大きな音を出すもの全般が怖いみたいだ。


実は、赤ん坊をあやすための『メリー』っていうのを買ったんだけど、それが動く時、音楽だけじゃなくて『ジーッ』って感じでモーター音が結構大きくて、玲緒奈が嫌がったんだ。だから今では、スイッチは入れずに、ただ、いろいろぶら下がってるものを玲緒奈が触るのに任せてるだけだった。そこにも、鈴とかが仕込まれててチリチリと音がする。でもその程度なら逆に興味を持ってくれるみたいだ。


大人が良かれと思って用意したものでも、子供に気に入ってもらえないこともあるんだっていうのを、実感した。こういう『メリー』もたくさん売られてるってことは、ちゃんと気に入ってくれる赤ん坊もいるってことだと思う。でも、玲緒奈は残念ながら電動で動くギミックについてはお気に召さなかった。『みんな同じわけじゃない』っていう何よりの証拠なんだろうな。



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