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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百六十七 玲緒奈編 「どれもこれもが大事なこと」

一月十九日。火曜日。晴れ。




医学的、生物学的な知識としての『性教育』は、学校でもしてくれるかもしれない。だけど、人間にとってのセックスって、『生殖』だけを目的にするわけじゃないよね?。


僕と絵里奈の場合は、子供ができればちゃんと迎えることを覚悟してるけど、そうじゃない人もいるよね?。


そういう部分については、さすがに学校では話しにくいことのような気がする。


だとすれば、やっぱり、僕は親として、きちんと伝えていきたいと思うんだ。何より、『セックス』というものを汚らわしいものとか不快なものという認識のままじゃ、不幸な気がする。


だって、自分自身が、そんな『汚らわしい行為』『不快な行為』の結果として生まれてきたってことになってしまうじゃないか。


もっとも、そういう僕だって、自分の両親のことを思い浮かべると、『考えたくもない』とは思ってしまうのも正直なところだけどね。なにしろ、あの人たちが『愛し合ってる』ってこと自体が想像もつかないんだ。あの人たちはただの『共犯者』であって、その間に『愛』なんていうものがあった気がしない。


だから余計に、『汚らわしい行為』『不快な行為』っていう印象になってしまうのかもしれない。


僕自身は、心底臆病者だから、他人が怖いから、信頼できる相手じゃないと、怖くてセックスなんてできない。


こんな風に言うときっと馬鹿にする人もいるだろうな。でも、僕にとってはどうでもいいことなんだ。だって僕はその人じゃないから。その人にとっては僕みたいなのは侮蔑の対象なのかもしれなくても、僕はそうじゃない。その人は、自分と他人が違うということを認められないのかもしれないけど、僕はそれを認めなくちゃと思ってる。それができないと、自分の子供が自分とは別の人間なんだっていう事実とも向き合えないと思うから。


沙奈子も玲那も玲緒奈れおなも僕とは違う人間なんだ。だから何もかもが僕の思い通りにはならない。僕が自分の子供たちを育てるのは、この子たちの親になることを自ら選択した僕自身の責務であって。『育ててやってるんだからすべてこっちの思い通りになれ』なんて言える義理のことじゃないよ。


今日も玲緒奈を膝に抱いてあやしながら休憩を取りつつ、そんなことを思う。


絵里奈は、星谷ひかりたにさんと、ビデオ通話で、『SANA』にまつわる重要な話をしていた。


僕たちにとっては、それらすべてが等しく大事なことなんだ。仕事とか育児とかそれを取り巻く諸々とか、どれもこれもが大事なことなんだよ。



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