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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百六十四 玲緒奈編 「みんなと同じでないといけない」

一月十六日。土曜日。曇り時々雨。




「本日、中国在住で日本に一時帰国した日本人男性が、新型肺炎に感染していることが確認されました」


ニュースが告げる。


「怖いですね……」


絵里奈が玲緒奈れおなにおっぱいをあげながら呟いた。


「そうだね……」


僕もそう応えながら、でも、内心ではまだ『このくらいなら』とも思ってた。流行しているところにいた人が感染してるくらいなら、別にそんなに驚くほどのことじゃないとも思うし。


「でもまあ、私たちは私たちで備えるしかないよね」


玲那の言葉はまさにその通りだ。僕たち自身が何か効果的な対応策を持ってるわけじゃない以上、普通の感染症対策を丁寧に実行するしかできない。


「うん、そういうことだね」


僕が言うと、沙奈子も頷いてくれていた。


その沙奈子は、今日も水族館に行くことになってる。これまではほとんど使ってなかったけど、せっかく持ってるんだから、スマホで写真や動画を撮影して、家でも見られるようにしようってことになったらしい。


普通ならもっと早く思い付くようなことかもしれないけど、沙奈子にはこれまでそういう発想がなかったことに加えて、何より、自分の目で直接見てインスピレーションを得ることが大事だってことみたいだね。


だけどここまで何度も何度も通って、何度も何度も見てきて、かなり自分の中に取り込めたみたいで、写真や動画を見ることでそれを思い出す。って形にできるようになったのもあるのかも。


もちろんこれからも、直接見たくなったら行くことになるだろうし、新しい生き物が展示されれば行こうと思ってるみたいだ。


世間的には、もっといろんなところに遊びに行った方が楽しいんじゃないの?と思われるかもしれないけど、それが必ずしもいい結果を生むとは限らないんじゃないのかな。ましてや沙奈子にとってはそういうのは大きな負担になるのは分かってる。


『みんなと同じでないといけない』


というのは、『呪い』だと僕は思う。実際にそれで辛い思いをしている人もいる以上は。


沙奈子には、今、三人の友達がいる。千早ちはやちゃん、大希ひろきくん、結人ゆうとくん。


友達も、今の三人がいればそれ以外は無理に作る必要もないんじゃないかな。


一方で、千早ちゃんは、持ち前の明るさでそれなりに親しくしてる子が結構いるらしいし、大希くんは『可愛い♡』ということで女の子から割と人気なんだって。


もっとも、当の大希くん自身は『可愛い』と言われるのはあまり好きじゃない上に、変に構われるのも好んでないみたいだけどね。やっぱり、沙奈子や千早ちゃんのような、『気を置けない相手』というのは実はなかなかいないみたいだ。


沙奈子や結人くんに至っては、それこそ『千早ちゃんと大希くんがいれば他に友達なんて必要ない』って感じだしね。



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