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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百六十二 玲緒奈編 「上手く言葉にして伝えることが」

一月十四日。木曜日。晴れ。



「今日は一日、ポカポカ陽気になるでしょう」


テレビがそう言ってた通り、今日はかなり暖かかった気がする。




昨日、僕がいない間、玲緒奈れおながすごくぐずっていたのを相手してくれていた絵里奈に、


「ありがとう」


と、抱き締めながらお礼を言わせてもらった。


『母親なんだから当たり前』なのかもしれないけど、その『当たり前のことを当たり前にしてくれている』こと自体に感謝するのも大事なんだと思う。


『当たり前のことなんだから感謝する必要もない』じゃなくてね。


もし本当に『当たり前のことなんだから感謝する必要もない』って言うのなら、親が子供を育てるのも当たり前のことなんだから、感謝する必要もないってことになるんじゃないの?。もしそこで『感謝する必要がある』って言うのなら、母親が、自分の伴侶が、子供の世話をしていることについても、感謝する必要があるんじゃないのかな?。


子供に対しては、『育ててやってることに感謝しろ』と言いつつ、伴侶が子供の面倒を見てくれてることについては感謝する必要はないなんて、随分とムシのいい話だよね?。


僕がこう言ってもあれこれ自分を正当化しようとする人も多いんだろうけど、僕はこれで十分に納得できるから、絵里奈への感謝をやめるつもりはない。


『そんなことをしてたらつけあがる!』


と言う人もいるとしても、それで付け上がるような人を伴侶にしたのは自分じゃないの?。絵里奈はそんなことで付け上がったりしないのは分かってるし、たとえ付け上がったりしても、絵里奈なら許せるよ。許せる相手だから結婚したんだ。


そんな僕に、絵里奈も、


「私も玲緒奈の親なんですから、この子を勝手に生んだんですから、この子のことを受け止めないといけませんよね。玲緒奈には玲緒奈の感じ方があって、望みがあって、それを正直に表現してくれてるんだと思うようにしました。


正直、パパに負けてるって気がしてしまいますけど、そうじゃないんですよね?。これは勝ち負けの問題じゃないですよね?」


って。


「うん、そうだと思う。僕だって、絵里奈のことを愛してるけど、だからって、絵里奈がいれば沙奈子や玲那は要らないってわけじゃないんだ。それと同じことなんじゃないかな。その上で、玲緒奈はまだ赤ん坊だから、上手く言葉にして伝えることができない。むずがって泣くっていう形でしか、『嫌だ』っていう気持ちを伝えられないってだけだと思う。


僕は、僕の勝手でこの子をこの世界に送り出した親として、玲緒奈の気持ちともちゃんと向き合いたいと思う。それが、『手本』になると思うんだ」



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