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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百五十八 玲緒奈編 「連携して対処すれば済む話」

一月十日。日曜日。晴れ。




もうそろそろ正月気分というのも抜けたみたいだし、完全にいつもどおりの日常に戻った気がする。僕たち自身は、あまりそういうことに拘ってなくても、世間がそういう空気感を出してるからね。


ただ、『新型肺炎』のことについては、ニュースでまた触れられてた。正直、これ以上の拡大がないのを祈るだけだ。


それ以外、僕たちにできることといえば、感染予防を徹底する程度だから。


そんなことも考えてると、


「ふえ……」


玲緒奈れおながぐずる気配を見せたので、おっぱいとミルクにするべく、僕と絵里奈は準備を始めた。絵里奈が自分の乳首の消毒をしている間に、僕は玲緒奈れおなのおむつを交換しようとおむつを外すと、お尻が少し赤くなり始めていた。おむつかぶれの前兆だ。


「おむつかぶれだ。お風呂場でお尻を洗う」


僕が玲緒奈の服を脱がせながらそう告げると、


「はい」


絵里奈が応えて、湯沸かし器のスイッチを入れてくれた。いつものことだから手馴れたものだ。


そして僕は、玲緒奈をお風呂場に連れて行く。シャワーのお湯でバスマットを温めてそこに玲緒奈を寝かせて、お尻を洗った。


当の玲緒奈は、気持ち良さそうに落ち着いてくれてる。でも、同時に、しょしょしょ~っておしっこも。だけどそのまま洗って、絵里奈が持ってきてくれたタオルで拭く。


綺麗になった玲緒奈をつれてリビングに戻り、広げておいた新しいおむつの上に置いた途端、


「ふ~むっ!」


って声を上げながら力むのが分かった。


「やばっ!」


僕は思わず声を上げながら新しいおむつで玲緒奈の股間を覆う。すると、「ぷりぷりぷり」って音と共に臭いが……。


ウンチだった。お風呂で洗って新しいおむつを着けようとしたこのタイミングで。


『やられたなあ……』


ついそんな風にも考えてしまうけど、相手は赤ん坊だ。大人の都合には合わせてくれてない。合わせられない。ここで苛々したって何も事態は好転しない。


それどころか、自分の思い通りにいかないからって苛々する親の姿を見せることになって、『自分の思い通りにならなければ感情的になっていい』っていうのを玲緒奈に見せることになってしまう。だから僕は、


「やられたぁ~」


とは言いながらも笑顔を向けることを意識する。怒鳴ったところで綺麗にはならない。ウンチは消えてくれない。だとしたらお風呂でお尻を洗うだけだ。


目の前の現実を受け止めて、一つ一つ、確実に対処する。『自分にはどうにもできない問題』というのも世の中にはあるけど、赤ん坊のウンチで汚れたお尻なんてお風呂場で洗ってしまえばすぐに片付く問題だ。


僕がまた玲緒奈のお尻を洗ってる間に、絵里奈が汚れたおむつを処分して、新しいおむつを用意してくれる。


玲那と沙奈子は一階で千早ちはやちゃんたちと一緒だけど、ここにも大人が二人もいるんだから、連携して対処すれば済む話なんだ。



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