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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百五十六 玲緒奈編 「つくづく思うんだ」

一月八日。金曜日。曇りのち晴れ。




昨日に引き続いてすごく寒い。


今日、朝のニュースで、また、『新型肺炎』のことを取り上げてた。何でも、感染者が亡くなったらしい。日本としては今のところはまだ様子見の段階らしいけど。


すると星谷ひかりたにさんからメッセージが。そのまま、ビデオ通話に切り替える。


「朝早くから申し訳ありません。ニュースはご覧になりましたか?」


「はい、感染した人が亡くなったらしいですね」


「そうですね。現状では日本への直接の影響はないと想われますが、このまま拡大するとやはり流通への影響が懸念されます。もし、実際に流通が滞るような事態に至れば、国内の企業に生産を委託することも検討しなければならなくなるかもしれません。取り敢えず、それをお知らせしておきます」


星谷さんのその言葉に、絵里奈も、真剣な表情で、


「分かりました。その辺りの判断は星谷さんにお任せします。その上で、私がしないといけないことがあればなんてもおっしゃってください」


と返す。すると星谷さんも、


「ありがとうございます。そうおっしゃっていただけると私としても動きやすくなります。私としては、あくまで、『SANA』を守るために動かせていただきます。そのために、いろいろ重大な判断をお願いすることもあるかもしれません。その心積もりはしておいてください」


少し険しい表情ではっきりと告げてきた。


そうだ。企業経営となると、綺麗事だけでは済まないことも出てくると思う。決して他人を踏みにじったりという形にはしたくないものの、給料の減額といったことはしなきゃならなくなるかもというのは事実だ。


僕たちはこれまで、ただ雇われてるだけの側だった。でも今は人を雇う側になったんだ。それだけ重大な決断をしなくちゃいけない時もあるんだろうな。


だけど、それでも、玲緒奈に顔向けできないようなことはしたくない。


それだけは心に刻んで、忘れないようにしたい。自分たちだけがいい思いをするために他人を踏みにじるのを当たり前のことだと考えていたら、玲緒奈もきっとそれを学び取ってしまう。そうして他人を踏みにじることを学んでしまった玲緒奈が他人を蔑ろにして傷付けて苦しめてるところなんて見たくない。僕たちの勝手でこの世に送り出してしまった子供が。


現実でも、ネットでも、テレビとかでも、他人を傷付けて悦に入っている玲緒奈なんて見たくないんだ。


だったら僕たちは、親として、率先して他人を傷付け踏みにじってる姿を見せたりしないようにしなくちゃ。って、つくづく思うんだ。



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