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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百五十四 玲緒奈編 「実際の事例に当てはまるものも」

一月六日。水曜日。晴れ。




今日は沙奈子達の冬休み最終日。と言っても、宿題も、最初の三日で完全に終わらせてたから、のんびりしたものだ。


その一方で、僕は、晴れて在宅勤務ということになった。打ち合わせの内容とかによっては出勤しなくちゃいけなくなる場合もあるけど、基本的には向こう三ヶ月、在宅勤務だ。かつ、状況によっては延長も有り得るということで、調整は済んでる。


だけど、昨日、僕が家にいなかったことで、玲緒奈れおながすごく不機嫌だったらしい。おっぱいは絵里奈でないとダメだからそれはいいものの、ミルクをあげるのは僕の役目だったからか、


「いや~、『なんでパパじゃないんじゃ~!!』って感じで猛烈な抗議がね~」


玲那はそう言って苦笑いしてるけど、一人で玲緒奈の相手をしていた絵里奈は、


「どうして…?。どうしてママじゃダメなの……?」


って泣きそうになってたって。


それを玲那が、


「違うよ。絵里奈。『ママじゃダメ』なんじゃないよ。『今はパパがいい』だけなんだ。だって、おっぱいの時は機嫌よくしてるじゃん。私も同じだよ。絵里奈のことは好きだけど、パパちゃんのことも好きで、絵里奈とパパちゃんは別なんだ。玲緒奈もきっとそういうことなんだよ。だけど玲緒奈はまだまだ赤ん坊だから、感情のコントロールが上手くないだけなんだよ。大丈夫。成長してくれば我儘も上手に言えるようになる。我儘を上手に言えるようになれば、ここまで大騒ぎすることもないよ」


と、仕事中にも拘らず二階に上がってきて、励ましてくれたって。


本当に、玲那はすごいな。玲那がいなかったら、僕たちは今みたいに穏やかではいられなかったかもしれない。


でも、当の玲那は、


「はっはっは!。まあこれは全部、山仁やまひとさんの受け売りなんだけどね」


だって。


「山仁さんの作品の中に書かれてたことそのままなんだ。やっぱ、経験者は違うよね。しかも、山仁さん自身、私たちと感性が近い人だから、その分、私たちにもできることを書いてくれてるんだと思う」


とも。


僕は、リアルでご本人を知ってる分、何となく照れもあって、山仁さんの作品は読んでなかった。実は、作者の素の顔を知ってしまうとどうにもそれがちらついてしまって上手く集中できないんだ。だけど玲那はそういうの気にせずに作品に没入できるタイプで、山仁さんの作品も、イチコさんから借りたりして読んでるんだって。そういう意味では、僕以上に、山仁さんの『言葉』を知ってるのかもしれない。


そうか。そういう形でも、いろんなことを吸収できるんだな。


フィクションをそのまま真に受けるのはいろいろ問題もあるかもしれないけど、中には、実際の事例に当てはまるものもあったりはするってことだろうな。



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