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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百五十 玲緒奈編 「この子の中で、この世界が」

一月二日。土曜日。曇りのち晴れ。




今日はとても寒い気がする。


朝方、玲緒奈れおなを膝に抱いて壁を背にうつらうつらしていたら寒くて目が覚めてしまった。エアコンだけじゃ十分に効いてないみたいだ。だから僕は、和室の方に置いてあった石油ファンヒーターを点けることにした。


ここに移る際、ガスファンヒーターにしようかとも思ったけど、どうしてもガスコンセントから届く範囲にしか置けないということで、敢えて僕が使ってた石油ファンヒーターをそのまま使うことにしたんだ。これなら、必要なところに持っていって使えるしさ。セラミックファンヒーターはそれこそトイレの足元を温めるくらいしかできないと聞くし、オイルヒーターはうちみたいな断熱性能が決して高くない木造建築だと電気代ばかり高くついてあまり温まらないとも聞いたから、採用しなかった。


なんだかんだ言っても、実際に炎を起こして温める石油ファンヒーターやガスファンヒーターは、『温める』という一点だけでならさすがに強いということなんだろうな。でも同時に、火事とかが心配だから、あくまで補助的に使うつもりだけど。


それはさて置き、ファンヒーターを操作するためにそっと玲緒奈を布団に下そうとしたら、


「ふえ……」


ってぐずりかけた。仕方なく玲緒奈を抱いたままファンヒーターを操作する。と言っても、準備はもうしてあったから、スイッチを入れるだけだ。


ピッと音がすると、


「……ぷ…?」


玲緒奈が目を覚ましてしまった。聞き慣れない音とかに敏感なところがあるからだろうな。加えて、布団に下そうとしたことでそれだけ眠りも浅くなってたみたいだし。


さらに、ファンヒーターが、


「コココココ」


って音を立て始めると完全に目を開けて、そちらに視線を向けた。そこに、


「コーッ、ボッ」


と火が点く音がして、


「ボーッ」


ってファンヒーターがいい始めると、頭も向けて音の正体を見極めようとする。


「ぷ……?」


『なんだ?』とでも言いたげに小さく声を上げて。


本当にいろいろなことに興味を持ち始めてるのが分かる様子だった。この子の中で、この世界が徐々に構築されていってるんだろうな。その中で、『人間としての在り方』も身に付けていってるのは間違いない。言葉と一緒に。


だから僕たちはこの子の手本にならないといけないんだ。僕たちがこの子の前で見せた振る舞いが、玲緒奈の『他人との接し方』の基本になる。


もし、威圧して萎縮させても、それはあくまで『親の前でいい子のフリをするようになるだけ』だろうな。なにしろ、沙奈子にさえ、激しい攻撃性は秘められてるくらいだから。



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