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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百四十九 玲緒奈編 「僕の知らない沙奈子」

二〇二一年一月一日。金曜日。晴れ。




「あけまして、おめでとうございます!」


「おめでとうございます」


玲緒奈のおっぱいとミルクをしてたら午前零時を回ったから、玲那が音頭を取って僕たちは新年の挨拶を交わした。


「今年は玲緒奈れおなも加わっての一年で、またいろいろ大変なこともあるかもだけど、力を合わせて乗り切っていきたいと思う」


僕がそう口にすると、


「はい、もちろんです」


「にひひ♡」


「うん…!」


絵里奈と玲那と沙奈子が応えてくれる。


特に沙奈子は、気合を感じさせるそれだった。もちろん、普通の人からすれば『おとなしい』ように見えると思うけど、僕にとっては十分に気合が入ってるのが分かるんだ。


今年は学校も三年生に進級する。成績とかについては何一つ心配してない…、いや、まあ、体育とか音楽については正直、かなり残念な感じだけど、人には得手不得手というものがあるから、気にする必要もないと思う。何より進学には大きな影響もないし。


「沙奈子は、高校はどうする?」


って聞いたら、


千早ちはや大希ひろきと同じ学校に行く……」


とのことだった。洋裁を専門に学べる学校とかでもいいのかなと思ってたけど、今はまだ、友達と一緒にいることを優先したいのか。


それならそれでいい。


と言うか、いつの間にか、千早ちゃんのことを『千早』、大希くんのことを『大希』って呼び捨てにするようになってたんだな。


正直、違和感は覚える。僕がこれまで見てきたこの子は、他人とそういう距離感で関われるタイプじゃなかった。これは、


『僕の知らない沙奈子』


だ。


でも、そうだな。親だからって子供のすべてを知ってるわけじゃない。親の知らないところで子供は成長してたりするんだ。千早ちゃんや大希くんや結人ゆうとくんと一緒に過ごしてる時間を、僕は知らない。そこでお互いにどういう影響を与え合っているかを、僕は知らない。


知らないけど、決して悪い影響じゃないことは分かる。


僕が絵里奈や玲那と知り合ったように、支え合える人と出逢えたように、千早ちゃんや大希くんや結人くんに出逢えたってことだったら嬉しい。


そうだ。僕も、僕にできる限りは沙奈子を支えていきたいと思う。だけど同時に、沙奈子は僕のペットじゃない。いつかは僕の下を巣立っていって、自分で自分の人生を作っていくことになるはずなんだ。その時に、力になってくれる人達と今のうちに知り合えてたなら、すごくありがたいことだよね。


絵里奈や玲那と出逢えるまでは、僕にはそういう人はいなかったから。山仁やまひとさんはとても頼りになる人だったけど、『僕の目指すべき目標』って感じであって、『支え合う』というのとはちょっと違ってたし。



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