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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百四十四 玲緒奈編 「それをする理由がない」

十二月二十七日。日曜日。晴れ。




冬休みに入った二日間で宿題を終わらせた沙奈子は、今日も、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんと一緒に厨房でお昼を作ってた。


僕は、その気配を感じつつ、玲緒奈れおなにミルクを上げつつ、玲那の言っていたことを思い出していた。


「確かにさ、ネットで悩み事とかを相談してるのって、実際には本当のことじゃなかったりするのも多い気はする。だってそうだよね?。ネットが普及し始めた頃には、ネットの怖さをあまりよく分かってなかった人たちが、藁にも縋る想いで相談とかしたかもしれないけど、ここまで誰でも気軽に使えるようになって、『匿名の掲示板』とかがどういうところなのかは、多くの人が知るところになったじゃん。なのにわざわざそんなところでマジの悩みを相談したりする?。ボロクソに叩かれるのがオチだってだいたい分かると思うんだよ。


でもさ、だからって、その『相談』が『レス欲しさの創作』かどうかなんて、普通は分かんないじゃん。どんなに嘘くさい話だからって、それだけで本当なのか違うのか、分かんないよね?。だからもしかしたら、本当に『藁にも縋る思い』で相談してる人もいるかもしれない。


そう考えたら、いきなり叩くなんてことができないと思うんだ。まともな神経を持ってたらさ。だってそうじゃん?。相手は傷付いて苦しんで救いを求めてる人かもしれないんだよ?。そうじゃない、ただの『レス欲しさの創作』かどうかも分からないうちから痛めつけようなんて発想が湧くことがもうまともじゃないよ。


そんな人間がリアルでもまともな人間関係を築けると思う?。他人が悩んでる傷付いてる風にしててもお構いなしに追い討ちを掛けてくるようなのと好き好んで関わりたいとは私は思わないよ。ということはやっぱり、ネットで相談しようとしてる人を叩こうとする人はリアルでも周りから好かれてない可能性がありそうだし、もしリアルではそんなことしてないとしても、『匿名の陰に隠れて、悩んで傷付いてるかもしれない人を平然と攻撃できるような本性を持ってる』のは事実だから、そんなのとは関わりたくないよ」


玲那の言うことはもっともだと思う。相手が本当のことを言ってるのか嘘を吐いているのか分からないうちから攻撃する人なんて、僕だって信用も信頼もできない。そういう人は、どんな理由で突然キレて攻撃してくるか分からないし。


それと同時に、そんなことをしてる人がなぜそうせずにいられないのかというのも、考える。沙奈子や玲那や千早ちゃんや波多野さんや田上たのうえさんは、他人に対して攻撃的になってもおかしくない過去を持っていたり境遇にあったりしてる。だけど、だからってみんな、誰かを痛めつけようとはしてない。


それはなぜ?。


結局、『それをする理由がない』からだと思うんだ。



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