表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1641/2601

千六百四十一 玲緒奈編 「被害そのものは」

十二月二十四日。木曜日。曇り時々雨。




今日から沙奈子の学校も冬休み。


だから、沙奈子と千早ちはやちゃんと大希ひろきくん、そして結人ゆうとくんも一緒に三階で冬休みの宿題を一気に終わらせることになった。しかも今日は波多野さんもバイトが休みだから、


鷲崎わしざきさんの代わりの結人くんの付き添いとして』


うちに来てる。


で、午前中にはもう、半分以上を終わらせて、残りはまた明日ということにして、動画を見たりゲームをしたりで遊んでる気配が。


それでも、そんなに騒々しい遊び方じゃないから、玲緒奈れおなの睡眠の邪魔にもならない。ただ、千早ちゃんと波多野さんの声は、時々聞こえてくるな。二人とも、ノリが近くて声が大きいタイプだし。とは言え、気になるほどじゃない。ちゃんと気を遣ってくれてるのが分かる。


何より、波多野さんが落ち着いてる様子なのが伝わってくるのがいいな。お兄さんの件は、年明け早々に裁判が行われて、今度のが基本的には最終になって判決が確定するらしい。有罪判決が下るのは確実な情勢で、後はどの程度の量刑になるかってところみたいだ。


もっとも、犯情が酷い上に本人の態度も最悪で、裁判員の人が怒り出したりってことさえあったくらいだから、そういう面ではもう可能な限り厳しい量刑をっていうのが期待されてる状況らしいね。


その上で、今度のは裁判官だけで判断することになるから、実刑判決になるかどうかが争点の一つなんだって。


どんな判決が下るにしても、これで決着がついてくれればとは思うものの、被害者の女性もここまで傷付けられてきたわけだから、判決が出たからといって溜飲が下がるってものでもないだろうな。何より、被害そのものは消えてなくなったりしないわけで……。


だから犯罪というのは、起こさないようにするのが大事なんだとつくづく思う。玲那だって、加害者だった実の両親が亡くなっても彼女が受けた被害がそれで消えるわけでもなく、今でも彼女を苛んでいるから……。


たとえ犯罪とまではいかなくても、僕の家族の中から『加害者』を出すのは嫌だ。沙奈子や玲緒奈が誰かを傷付けたりするのは嫌だ。そんなことになるくらいなら、僕に当たってくれた方がいい。僕は沙奈子や玲緒奈の親なんだから。感情的になることがあっても、赤の他人に八つ当たりするのはやめてほしい。


その覚悟があるからこそ、僕は『親』になったんだ。




ところで、今日は、大希ひろきくんの誕生日でもある。


夕方から、うちの事務所で、クリスマスも兼ねたささやかなパーティーをすることになった。


と言っても、僕と絵里奈と玲緒奈は、ビデオ通話での参加だけどね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ