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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百四十 玲緒奈編 「ちゃんと人間と見做してたら」

十二月二十三日。水曜日。晴れ。




今日は、沙奈子の学校の終業式。でも、いつもと変わらずに淡々と迎える。


また、星谷ひかりたにさんが海外の知人から情報を得たという『伝染性の疾病』についても、今の僕たちがあまり気を揉んでもどうなるものでもないから、気にしすぎないようにしようと思う。


その一方で、玲緒奈れおながいるからこそ感染症対策については気を付けたい。インフルエンザはもちろん、ただの風邪とかでもまだおっかないし。


幸い、ここまで玲緒奈は目立った病気とかもなかった。おむつかぶれがちょっとあったくらいで。それも、おむつを替えるたびに思い切ってお風呂で洗うようにしたらすぐに収まってくれた。どうやらウンチやおしっこのせいだったみたいだね。


お風呂で洗うから、当然、僕の役目だった。玲緒奈も、僕が洗う分には落ち着いてくれてる。


毎回毎回お風呂で洗うのは大変だったけど、家のことも玲那と沙奈子に任せて玲緒奈に集中できてるんだから、このくらいはね。


絵里奈と交代で買い物に行くようになったと言っても、まだまだ僕たちは恵まれてる。それを徹底的に活かすだけだ。


玲那や沙奈子が進んで家のことをしてくれるのは、結局、二人が『そうしたい』と思ってくれるような親でいられてるからだと思うんだ。


これについても玲那はしみじみ言ってた。


「つくづく、親子関係もあくまで『人間関係の一種』でしかないってのを感じるよ。どうしても親の側に『生んでやった』『育ててやってる』っていう思い込みがあるから『親子関係は特別なもの』って思ってしまいがちなんだろうけど、それがそもそもの間違いなんだろうね。子供だからって親が好き勝手していいわけじゃないし、軽んじていいわけじゃないんだよ。


私は、パパちゃんや絵里奈が私のことを『自分たちが育ててやってる子供』って考えて下に見てってしてないから二人を信頼できるんだ。それに比べたら、私の実の両親なんて、『親の勘違いの一番悪い例』だったと思う。『自分たちが生んでやって育ててやってる子供なんだから、好きに使っていい』って思い込んでてさ。私のことを人間扱いしてなかったんだよ。だからあんなことができた。子供をちゃんと人間と見做してたらできないことだよ」


僕も本当にそう思う。僕の両親も、僕のことを『ただの邪魔者』としか見てなくて人間として扱ってなかったっていうのを痛いほど感じてる。しかもあの人たちは、兄のことさえ、本当に『人間として扱ってた』わけじゃないと思うんだ。『自分たちにとって都合のいい道具』としか見てなかった。だから兄からも見捨てられたんだろうな。



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