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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百二十九 玲緒奈編 「僕が気にしなかったから」

十二月十二日。土曜日。曇り。




今日も、沙奈子は家でドレス作りに集中する。三階の掃除を任せてたり夕食とかを作ってもらってることで邪魔をしてることにならないか心配にもなるけど、


「大丈夫……気分転換になってる……」


と言ってくれてる。それ自体が僕たちに気を遣ってのことじゃないかと心配にもなりつつ、そこは、彼女の表情とかを見て判断する。


沙奈子は、他人には無表情そうに見えるかもしれないけど、実はそうじゃないんだ。ちゃんと、辛い時は辛そうな表情をするし、悲しい時には悲しそうな表情をするし、嬉しい時には嬉しそうな表情をするんだ。少なくとも、僕にはそれが分かる。ずっと彼女を見てきたから。


彼女はちゃんと、自分の気持ちを表現してくれてる。あとはそれを判別できるかどうかの問題だよ。


そして今は、ドレス作りに集中して、でも、ドレス作りそのものを楽しんでる表情をしてた。


さらには、そんな沙奈子を、玲緒奈れおながじっと見てる。


お姉ちゃんがなにをしているのか、気になっているのかな。


一方、沙奈子も、玲緒奈のことを見る時には、穏やかな表情で見てくれてる。これがもし、父親と母親を取られてヤキモチを妬いていたりしたらそんな表情にはならないと思う。


それに、


「沙奈子。僕のお膝、くる?」


玲緒奈が寝ている時なんかにはそう声を掛けさせてもらうと、


「うん…!」


嬉しそうに僕の膝に座ってくる。できる限りはそうしてる。そして、ドレスを作ってもらってる。


中学二年にもなってこうして娘が父親の膝に座るというのを奇異に感じる人もいるかもしれない。でも、沙奈子が抱える特殊な事情を考えれば、『普通』と違ってても何もおかしくないと僕は思う。この子が『人並みの穏やかな毎日』を得られるようになってからまだ四年程度しか経ってないんだ。だから僕は、今の沙奈子を、ある意味では『四歳』と捉えてる。四歳だったら、別に何も不思議じゃないよね。


それと同時に、成長も感じる。明らかに大きくなってきてる。


絵里奈と玲緒奈が入院中に、玲那とも合わせて三人でお風呂に入った時には久しぶりに間近で体を見たら、間違いなく女性のそれになりつつあったし。胸とかも、びっくりするほどは変わってなくても、確かに大きくなってきてたんだ。


だけど、僕に体を見られることを、沙奈子はまったく恥ずかしがってなかった。


一時期、少し意識し始めたことがあったのに、沙奈子自身が僕と別々にお風呂に入ることを望まなかったのもあって一緒に入ってたら、平気になってしまったみたいだ。たぶん、僕が気にしなかったからだろうな。沙奈子の変化を僕が平然と受け入れてるように感じられたことで、沙奈子も平気になってしまったんだと思う。


そこで僕が明らかに意識してるのが察せされたら、きっと、もっとはっきり『恥ずかしい』って思うようになってたんだろうな。



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